「スマホ依存」で子供の眼球が変形? 10人に1人が失明予備軍との試算も スマホ失明から身を守る方法

ドクター新潮 ライフ

  • ブックマーク

「20-20-20ルール」

 また、強い危機感を持って対策を講じている欧米では「20-20-20ルール」というのが提唱されています。これは、20分間「近業」をしたら、20秒間、20フィート(約6メートル)遠くを見ましょうというもの。

 この20秒間遠くを見るというのは、どこか1点を決めて見続けるのではなく、遠くを見渡すというイメージ。重要なのは「近業」の対象から目を離すということです。

 これはご家庭でも今すぐに取り入れられるルールではないでしょうか。子どもは熱中すれば1時間ずっとスマホ画面を見続けているなんてこともザラにあります。従って、大人が注意して「20-20-20」を習慣付けてあげるのが大切です。

 今の子どもたちが大きくなる頃には平均寿命はさらに延び、間違いなく人生100年時代に突入していることでしょう。しかし、私たちの子どもや孫が最後の10年、20年を全盲で過ごすことになったら……。人類の“明るい”未来を守るためにも、今すぐ近視対策が必要なのです。

川本晃司(かわもとこうじ)
眼科医。1967年山口県生まれ。高校卒業後、日雇い労働をしていたが、一念発起して28歳で山口大学医学部に入学。34歳で眼科医となり、44歳で「かわもと眼科」を開業する。2021年には北九州市立大学ビジネススクールでMBAを取得。現在は眼科医の傍ら、同大大学院で医療と認知心理学とを掛け合わせた学際的な研究を行っている。

週刊新潮 2023年4月27日号掲載

特別読物「『そんな大げさな…』では済まない 『スマホ失明』から子どもを守れるか」より

前へ 2 3 4 5 6 次へ

[6/6ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。