【立川・6億円強奪事件】お客に余計なことを言ってしまったばかりに……逮捕された美容師が法廷で語った「後悔と反省」

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日本犯罪史上最高の“被害額”

「ルフィ」を名乗る人物をリーダーとするグループにより、関東など各地で相次いだ広域強盗・特殊詐欺事件で、今年3月、フィリピンの入管施設から指示役とされる4人が強制送還された。この事件は長らく社会問題となっている特殊詐欺のスキームが巧妙化し、かつ凶悪化の道を辿っていることを世に知らしめた。

 カネを奪う犯行には、それを実行する人間だけでなく“情報”が必要だ。たとえば、特殊詐欺では様々な個人情報が記された「闇名簿」をもとにターゲットを絞り込み、犯行に及ぶという流れがある。業者からこうした名簿を入手した詐欺グループは、配下のメンバーに下調べをさせて精度を高めるともいわれる。だが、犯罪集団がターゲットの情報を得る方法はそれだけではない。

 では、縁もゆかりもないターゲットを探し出すために、悪党はどのように情報を仕入れているのか。かつて東京・立川市で起きた“日本犯罪史上最高額”の現金強奪事件。およそ6億円にのぼる巨額のカネが奪われた事件では、「美容室」での雑談からすべてが始まった。【高橋ユキ/ノンフィクションライター】

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 2011年5月12日の未明、東京都立川市にある警備会社の金庫室から現金が奪われた。宿直の警備員が仮眠を始めたのは午前3時。その1時間後に突如、警備会社に2人組の男が押し入り、警備員に告げた。

「金庫室の金を出せ」

 男たちは警備員を脅迫し、暗証番号を聞き出すと、金庫室の鍵を開錠して侵入。現金の入った麻袋およそ70個を運び出して逃走した。被害額は、実に約6億400万円。国内犯罪史上最高額にもかかわらず、「ルフィ事件」ほどの大騒ぎにならなかったのは、東日本大震災からわずか2ヵ月後の犯行であったことも無関係ではないだろう。

 この警備会社は毎週火曜日と木曜日、他の曜日より多めの資金を配送するよう取引先から委託されていた。事件が起きたのは木曜未明。奪われた現金の大半は、同日午前の郵便局への配送のために保管していたものだった。また、男らは防犯カメラの設置されている警備会社の駐車場ではなく路上に車を停め、警備員が仮眠に入ったわずか1時間後のタイミングに侵入している。そのため、勤務体制を含め社内事情を詳しく知る者が事件に関わっているとの疑いは当初から囁かれていた。

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