最後に頼りになるのは神様? 次期「米大統領選」は若年層が大きなカギ その行動様式に異変
銃暴力の深刻化が若者の信仰心を押し上げか
若年層のライフスタイルにも驚くべき変化が生じている。
カイザー・ファミリー財団が4月中旬に公表した調査によれば、米国人の3人に1人が銃による暴力を恐れて、音楽フェスやクラブといった混雑する場所を避けているという。
同財団の調査では、「米国人の5人に1人が銃で家族を失っている」事実も判明しており、米国における銃暴力の深刻化が浮き彫りになっている。
米国では「5歳児の25人に1人が40歳までに亡くなっている」という衝撃的な統計結果もある。この死亡率は先進国の数値の4倍であり、キューバやレバノンよりも高い(「クーリエ・ジャポン」4月18日配信)。
4月28日夜(現地時間)にも、テキサス州で8歳の子供を含む5人が銃で死亡する事件が起きるなど、今年の米国は銃撃事件発生のペースが過去10年で最悪だ。銃撃事件による死者数は200人を超え、既に昨年(145人)と一昨年(165人)を上回っている。
銃暴力の恐怖を骨身に染みて感じている若年層が、銃規制の強化が一向に進まない状況に業を煮やして、自らの行動様式を控え目にせざるを得なくなっているというわけだ。
若年層は究極の手段にも目を向け始めているようだ。
世界に冠たる「宗教国家」の米国でも、この10年間は世俗化の流れが進んでいたが、生命の危険を常に感じているからだろうか、若年層の間で宗教に回帰する動きが生まれている(「ZeroHedge」4月27日配信)。
「神への信仰を重視する人々の幸福感が米国で最も高い」との研究結果があるように、警察を始め行政機構に対する不信感が募る若年層にとって「最後に頼りになるのは神」なのかもしれない。
このように、リベラルとされてきた若年層の間で保守的な兆しが生まれている。
次期大統領選挙の結果は日本を始め国際社会に大きな影響を与える。勝敗の鍵を握る若年層の動向を、今後も注意深く見守っていく必要があるのではないだろうか。
[2/2ページ]