「歯周病」との関連が気になる5つの病気 サツマイモの“蜜”に予防効果ありとの新たな研究も

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50代以上になるとほとんどの人が罹患者

 歯でビール瓶の蓋を開け、リンゴは皮ごと丸かじり……あれから40年―。歯はボロボロ、差し歯、入れ歯、歯科インプラントに頼り、自慢にしていた白い歯も、いまや昔である。

 ヒトの永久歯は28本(親知らずの歯を入れたら32本)。個人差もあるが40代の頃から歯を失う人が増えはじめ、80代まで生き残る永久歯は数えるほど。これでは日に3度の食事も楽しめない。こうした歯の衰えを加速させる元凶は、「歯周病菌」である。

「歯周病はかつて不治の病とも言われました。でもこの10数年で、歯周病の予防や治療研究が目覚ましく進歩し、進行を阻止することが可能になってきています」

 そう語るのは、東京歯科大学・口腔科学研究センターの三浦直准教授だ。三浦准教授は職務中でも歯ブラシを身近に置き、常に歯磨きを欠かさないという。

 早い人で、乳歯が生えはじめる生後6カ月後あたりから始まる歯周病は、50代以上になるとほとんどの人が罹患者になる。厚生労働省の「歯科疾患実態調査」(2016年)によると、歯周病は15、6歳あたりから顕著になり、60歳代でピークを迎える。

 一体、どのような病気なのか。三浦准教授によると、通常、口の中には、500~700種類の細菌が棲み、食事後などに、ケアを放っておくと、これら細菌の一部が歯の表面に付着してしまう。

 この付着物を「デンタルプラーク」(歯垢)という。付着するこのプラークがクセ者で、1mgにざっと10億個もの細菌が存在し、増殖する。やがてこの細菌が、歯と歯ぐき(歯肉)の境目(歯周ポケット)に入り、歯の周りの歯肉を破壊し、歯を支えている骨(歯槽骨)まで溶かす。口臭も発生する。これが「歯周病」である。

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