昨年のキングオブコントで準優勝、「コットン」がお笑い界で“珍しいコンビ”と言われるワケ

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「初めて人間味を見せた瞬間」が転機に

 彼らにとって最大の転機となったのは、2021年に「しくじり先生 俺みたいになるな!!」(テレビ朝日系、AbemaTV)に出演したことだ。

 ここで西村は、陽キャの最高峰である“自分”を堂々とさらけ出して注目を集めた。当たり障りのない優等生的な芸人だと思われていた彼らが、初めて人間味を見せた瞬間だった。

 この番組の中で、覚えづらいと言われていた「ラフレクラン」というコンビ名を「コットン」に改めて、彼らは再スタートを切った。そして、2022年の「キングオブコント」で準優勝して、ようやくブレイクのきっかけをつかんだ。

「陽キャ」のコンビであることを受け入れて、開き直ってみせたことで、彼らがもともと持っていた高い能力がそのまま認められ、評価されるようになってきた。

 西村は元アナウンサーだけあって司会者としての技術も高く、今後はMCとして起用される機会も増えていくだろう。きょんは天然キャラとしてドッキリ企画などに呼ばれることもあるだろうし、俳優業の適性もありそうだ。

 陰キャ(陰気なキャラ)ばかりが目立ちがちなお笑いの世界で、陽キャの逆襲が始まった。究極の陽キャコンビであるコットンは、これまでにないものを見せてくれるだろう。

ラリー遠田
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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