居酒屋で女性にちょっかいを出し、彼氏をボコボコにした中央アジアの外交官 元公安警察官が責任追及で使った“奥の手”とは
日本の公安警察は、アメリカのCIA(中央情報局)やFBI(連邦捜査局)のように華々しくドラマや映画に登場することもなく、その諜報活動は一般にはほとんど知られていない。警視庁に入庁以後、公安畑を十数年歩き、数年前に退職。一昨年『警視庁公安部外事課』(光文社)を出版した勝丸円覚氏に、暴行事件を起こした中央アジアの外交官について聞いた。
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勝丸氏は、公安部外事課の公館連絡担当班に所属していたことがある。公館連絡担当班は、東京にある各国大使館や総領事館、政府代表部との連絡、調整をするのが主な任務だが、トラブルに巻き込まれた外交官の相談に乗り、問題を解決したこともあった。もっとも、今回ご紹介するのは、トラブルを起こした外交官の責任を追及した話である。
「外交官は、ウィーン条約によって外交特権が認められ、赴任した国で犯罪を犯しても逮捕されることはありません。そのため被害者は、泣き寝入りするケースが多いのです」
と語るのは、勝丸氏。
屈強な人物
「2013年頃の話です。六本木の居酒屋で、中央アジアの国の外交官が暴行事件を起こしました。彼は大使館の同僚とその店で飲んでいた。すると若い日本人のカップルが現れました。女性は、人目を引くような美人でした」
外交官は、その日本人女性に釘付けになったという。
「彼は、同僚に目配せして、女性をチラチラ見ていたそうです。そして女性と目があうとにっこり微笑んで立ち上がり、彼女のそばまで行って『綺麗な方ですね。お話ししてもいいですか』と拙い日本語で話しかけました。かなり酔っ払っていたようですね」
そして女性に握手を求め、馴れ馴れしく肩まで抱いたという。
「女性が嫌がるのを見た彼氏は、外交官に向かって『もう、やめろよ!』と怒鳴った。外交官は、『怒るんじゃない』と言って宥めたのですが、彼氏は怒りが収まらなかった。外交官を彼女から引き離そうとしたところ、今度は外交官が怒り始め彼氏を殴ったのです。彼氏も応酬して殴り合いになりました」
外交官は、屈強な人物だった。
「喧嘩は、日本人男性が劣勢でした。顔面をボコボコに殴られ、鼻から血が噴き出しました。唇も切れて、血が滲んでいました。外交官も殴られたものの、目の周りが少し赤くなった程度でした」
殴り合いを見て、びっくりした居酒屋の店長が警察に通報した。
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