2軍落ちの巨人開幕投手「ビーディ」 良くないオーラを出す感情の問題とは【柴田勲のセブンアイズ】

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戸郷翔征に期待

 巨人が3、4月を11勝14敗の借金3で終えた。4月を借金で終えるのは、2012年以来だという。5位……それでもラスト7試合は5勝2敗、上がり目が出てきた。

 2日からは東京ドームでヤクルト3連戦、5日からは名古屋に乗り込んで中日3連戦だ。2日の先発は今季初の中5日で戸郷翔征だという。私はラジオで解説することになっている。楽しみだ。

 自信を持って投げている。フォークの制球力が抜群だ。ストライクを取り、また三振を取れる。自由自在に操っている。自信過剰ではないかと思えるほどだ。打たれるとマウンドで、「なんであの球が……」と不思議そうな顔をしている。

 菅野智之が離脱しているいま、首脳陣の期待は大きい。間隔を詰めてカードの頭を託される。6連戦を巨人が乗っていけるかどうか、戸郷の右腕が握っている。

ビーディと栗林に共通すること

 開幕投手だったタイラー・ビーディの2軍落ちが決まった。30日の広島戦、来日5度目のマウンドで初勝利を目指したが、3回3分の2、64球を投げて被安打8、5失点で4敗目を喫した。
 
 12球団の開幕投手で唯一未勝利、巨人の開幕投手から4連敗は1974年の高橋一三以来、49年ぶりだという。 

 再調整。精神的なものだと思う。見ているといいものを持っている。制球力があるし、球種も豊富だ。

 だが、いざマウンドに上がると、打たれたくない、打たれちゃいけない。こんなオーラを発している。そしてボールが先行して甘くなったところを打たれる。考え過ぎだ。彼は勝てる投手だ。

 29日の広島戦、中田翔が逆転サヨナラ2ランを放った。初球、すっぽ抜けのフォークだった。巨人がこの試合を取ったのは大きかった。チームが変わる。

 広島の投手は抑えの栗林良吏だった。中田の前の打者、岡本和真に四球を与えたのがサヨナラ弾の伏線となった。

 岡本に本塁打を打たれたくない。こんな感情が支配していたのだろう。一発が出ても同点なのに警戒し過ぎた。打たれたっていい。度胸を決めて投げていたら、抑えていたと思う。栗林にしてみれば、最近、リリーフでうまくいっていない。どうしても逃げの投球になってしまう。感情に負けたと言っていい。

 私にも覚えがある。現役時代、広島の外木場義郎や北別府学が大の苦手だった。緩いカーブが打てなかった。打席に入って、「ああ、またあのカーブが来るのかなあ……」と思うと、もうダメだった。

 そうかといえば、ヤクルトの松岡弘とは抜群に相性が良かった。なぜかタイミングが合った。松岡はストレートが速かった。だれもが手を焼いたが、苦手意識が全くなかった。カモにしていた。

 力対力の勝負にも感情が入り込み、結果を左右することがままある。五分五分が四分六分、三分七分となってしまう。ビーディと栗林がそうだったのではないか。

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