「戦力外危機」藤浪晋太郎、「最後の頼みの綱」は原巨人 オコエの“二匹目のどじょう”でNPB復帰なら「救いの手」の声

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原監督は“藤浪に興味”の過去

 前出のMLB解説者は、遅かれ早かれ日本復帰を探ることになると予想した上で、その場合は巨人が名乗りを上げるとみる。

「阪神は投手陣の層が厚く、今年も村上(頌樹)が台頭し、2軍にも有望な若手が控えている。藤浪も自覚していたように居場所はない。ただ、巨人は今季も投手陣強化が課題で、先発でもリリーフでも藤浪が生きる道はある」

 巨人を取り巻くチーム事情も藤浪には追い風だ。昨オフ、初開催された現役ドラフトで楽天のドラフト1位入団ながらプロでは燻っていたオコエ瑠偉を獲得した。原辰徳監督(64)は今季、開幕からリードオフマンに据えると、21試合に出場し、打率2割5分6厘、2本塁打、6打点で4月を終えた。4位と振るわなかったチームでは数少ない前向きな材料だった。

「オコエがこのまま1軍に定着していけば、楽天がさじを投げた選手を戦力にした原さんの手腕は評価される。(近年は)巨人はフリーエージェント(FA)選手に敬遠され、有力選手を補強できなくなった。巨人の今後の補強を考えると、他球団でモノにならなかった選手に目を向ける必要性が生じている」(セ・リーグ球団編成担当)

 実際、昨オフにはソフトバンクの戦力構想から外れていた松田宣浩を獲得した。広島で出場機会が減っていた長野久義も復帰させた。他球団で解雇された選手を蘇らせる手法は故野村克也監督が得意としていた。さながら、巨人版の”原再生工場”ではないか。

「以前から原さんは藤浪の潜在能力の高さに興味を示していたようだ。同じセ・リーグで、特に(相互にライバル視する)阪神だからトレードは実現しなかったが、メジャーを経由したことで移籍には支障がなくなった」(同)

“名伯楽”と解体的出直し?

 藤浪獲得となれば、巨人には再生にうってつけの指導者がいる。原監督の肝煎りで招聘した久保康生コーチ(65)のことだ。

 昨オフ、当初は巡回投手コーチでの入閣だったが、開幕直前に1軍投手コーチに転身した。同学年の原監督が絶大な信頼を置く名伯楽である。

 近鉄で大塚晶文、岩隈久志らを育て上げ、阪神ではランディ・メッセンジャーからも信頼を受けた。

「(阪神で長年、コーチを務めながら)藤浪を担当できなかったことが心残りと話していた。プロ入り当初の(3年連続2桁勝利の)活躍も、藤浪自身がなぜ勝てているかを分かっていなかったと分析していた。そこが欠けていたから、その時に立ち返ることができないとも。藤浪の指導は何年越しかの希望の実現となる。フォームを一度白紙にし、根底から見直して制球難を解消しようと導くはず」(阪神球団関係者)

 巨人はかつて高額な有力FA選手や外国人選手を買い漁り、使い捨てにもしてきた。それが今や、藤浪再生の筆頭球団に挙げられるとは――。

 隔世の感はあるものの、来年4月に30歳になる藤浪にとっては「球界の盟主」が最後の頼みの綱になりそうだ。

デイリー新潮編集部

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