部下に性加害、自殺に追い込んだ69歳「元弁護士」 立派すぎる経歴と「恋愛関係だった」という釈明に感じる落差

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「恋愛関係」と反論

 話を民事訴訟に戻すと、女性弁護士は2018年3月、遺書を残して自宅アパートで自殺した。32歳だった。担当記者が言う。

「重要なポイントは、清源善二郎氏が《元弁護士》と報じられている点です。善二郎氏も父の敏孝氏に負けないほどの存在感を示した弁護士で、1993年4月から94年3月まで大分県弁護士会の副会長、2009年4月から10年3月まで会長を務めました。ところが、女性弁護士の自殺が明らかになると、自ら弁護士登録を取り消したのです。その一方で、遺族が提訴した民事訴訟では徹底抗戦に打って出ました」

 遺族は「清源氏から繰り返し性被害を受けたことが自殺の原因」と主張し、清源氏と清源法律事務所に対して損害賠償を求めた。

 これに清源氏側は「女性弁護士とは恋愛関係にあった」と反論した。これが真実であれば、弁護士を辞める必要はないと思う人は多いのではないか。

 大分地裁は女性弁護士の友人の証言や遺書の内容などから「恋愛関係に基づく性的関係であったと認める余地などない」と断定。女性弁護士が「退所を含め他に方途を見いだせない状況下で、自死を選択せざるを得なかった」と性被害と自殺の因果関係を認定し、清源氏と同事務所に1億2800万円の支払いを命じた。

菅生事件

 女性の遺族はコメントを発表し、NHK NEWS WEBが4月21日に配信した「弁護士自殺は性的被害の可能性 元上司らに支払い命じる判決」が長く引用している。該当部分の全文を紹介しよう。

《娘は私たち家族の希望でした。ただ普通に働くことができたなら、娘もこれから地元や社会に貢献できる弁護士になることができたはずです。このような娘の人生を踏みにじった被告らには、きょうの判決を受け止め、娘に心から謝ってもらいたいと思います》

《娘の人生を踏みにじった》善二郎氏とはどのような人物なのか。彼のことを報じるためには、父親の敏孝氏について触れる必要がある。

「清源敏孝弁護士の業績で最も知られているのは、1952年6月に大分県菅生(すごう)村(現・竹田市菅生)で起きた『菅生事件』で、弁護団の主任弁護士を務めたことです。村の駐在所が爆破され、日本共産党の党員5人が逮捕、起訴されました。一審では全員が有罪となりますが、敏孝氏をはじめとする弁護団や新聞社が粘り強く調査を続け、共産党を弾圧するため公安警察が自作自演したことを突き止めます。二審では全員が無罪となり、1960年の最高裁判決で無罪が確定しました」(前出の担当記者)

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