部下に性加害、自殺に追い込んだ69歳「元弁護士」 立派すぎる経歴と「恋愛関係だった」という釈明に感じる落差

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 朝日新聞デジタルは4月21日、「女性弁護士自殺、元弁護士会長による性被害認定 1億円超の賠償命令」との記事を配信した。大分県の弁護士だった女性が、県弁護士会の元会長による性被害を受けて自殺。民事訴訟の結果、1億2800万円の賠償を大分地裁に命じられたのだ。

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 まさに卑劣なセクハラ事案だが、調べてみると元会長は、文字通り“地元の名士”だった。まずは裁判の経緯を振り返っておこう。

 自殺した女性弁護士は2013年に司法試験に合格。翌14年に大分県中津市にある「清源法律事務所」に入所した。当時、事務所の代表は清源(きよもと)善二郎氏(69)が務めていた。

 清源氏は1954年生まれ。76年に中央大学を卒業し、82年に司法試験に合格。清源法律事務所の公式サイトを見ると、「清源法律事務所の歩み」という記述があり、これが非常に興味深い。

 事務所は1944年、《先々代の清源敏孝弁護士》が創業した。後で詳述するが、地元の中津市のために尽力しただけでなく、冤罪事件や労働争議の弁護に奔走するなど多くの人々から尊敬された弁護士だった。

 85年、《先代の清源善二郎弁護士が参画》とあり、息子である清源氏が父の後を継いだことが分かる。

 さらに2011年、《清源万里子弁護士(現代表者社員弁護士)が参画》との記述もある。大分合同新聞が12年6月に報じた記事によると(註1)、清源万里子弁護士は《故・清源敏孝弁護士の孫》。つまり清源法律事務所は、祖父、父、娘の3代が経営してきたわけだ。清源家にとって弁護士は“家業”ということらしい。

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