チャールズ国王の戴冠式、晴れの舞台になぜカミラ王妃の「元夫」が参列できるのか

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戴冠式で重要な役割を果たすカミラ王妃の元一家

 5月6日に執り行われるチャールズ国王(74)の戴冠式には、秋篠宮ご夫妻を含む世界中から約2000人の参列が予定されている。エリザベス女王の戴冠式と比べて半分以下であり、まさに「選び抜かれた」2000人といえる。

 それだけに注目度は高く、先にはチャールズ国王の次男・ヘンリー王子(38)の参列とその妻・メーガン妃(41)の欠席が話題を呼んだ。そして次なる注目の参列者は、カミラ王妃(75)の前夫、アンドリュー・パーカー・ボウルズ氏(83)である。

 チャールズ国王とカミラ王妃は2005年に結婚したが、それまでは長年のダブル不倫関係だった。チャールズ国王の妻だったダイアナ妃が、カミラ王妃の存在に苦しんだことはよく知られている。カミラ王妃の夫だったアンドリュー氏もさぞ……と思ってしまうところだが、実際は「元身内であり現在の友人」としてチャールズ国王夫妻と良好な関係を築き、戴冠式でもかなりの良席に着くというのだ。

 実のところ、今回の戴冠式はチャールズ国王だけのものではない。「国王チャールズ3世とカミラ王妃の戴冠式」と招待状に書かれている通り、カミラ王妃も戴冠する。当日は夫妻で豪華なローブを着用することになるわけだ。

 その裾を持つ役目は「ペイジ・オブ・オナー」と呼ばれる従者役の少年8人。この顔ぶれも英国ではニュースの1つで、チャールズ国王側の4人はウィリアム皇太子の長男・ジョージ王子(9)ら、カミラ王妃側は自身の孫3人らに決まった。この孫3人の祖父はもちろんアンドリュー氏だ。孫たちの親、アンドリュー氏とカミラ王妃の長男と長女も参列する。

 ダブル不倫の末に結婚した夫妻、その晴れ舞台となる戴冠式を、元夫を含む元家族が支える。不倫に厳しい日本からみると、非常に不思議な光景である。いったいなぜ、そんな関係が成立するのだろうか。

王室と極めて“近い位置”にいた2人

 その理由を紐解くヒントとして、アンドリュー氏の生い立ちからみてみよう。父は伯爵のひ孫、母は億万長者の準男爵の娘という申し分のない家柄。両親がエリザベス女王の親しい友人だったこともあり、生まれながらにして王室との距離が近かった。そのため13歳だった1953年、エリザベス女王の戴冠式に「ペイジ」として参列している。

 以後はサンドハースト王立陸軍士官学校に進み、当時のロイヤル・ホースガーズ(近衛騎兵隊)に属した。後に部隊統合でブルーズ・アンド・ロイヤルズ(近衛騎兵連隊)が誕生した際は、初代の副隊長を務めている。どちらも重要任務は王室の護衛だ。エリザベス女王の戴冠式に参列した少年が、女王を守る軍人に成長したわけである。

 80年のジンバブエ独立では、チャールズ国王と現地の式典に赴いた。82年に発生したハイドパーク爆破事件では、現場の指揮を執ったこともある。そして驚くことに、チャールズ国王とダイアナ妃の結婚式では、護衛の兵士として馬車の脇で馬に乗っていた。大英帝国勲章(OBE)の受勲者であり、現在は元高級将校として、ロイヤルアスコット(競馬レース)などの王室主催イベントに出席している。

 もう1つのヒントは、「王族との個人的な付き合い」である。カミラ王妃との結婚は73年だが、それまでにエリザベス女王の長女・アン王女(72)とも交際したといわれる。一方でカミラ王妃はチャールズ国王と交際しており、ともに「王族の恋人」を経ての結婚となった。アン王女は祖母(エリザベス女王の母)と叔母(マーガレット王女)とともに、この時の結婚式に参列している。

 アンドリュー氏とカミラ王妃は一男一女をもうけたが、その結婚生活はゴシップのネタになった。カミラ王妃とチャールズ国王の関係が切れなかったこともあるが、実はアンドリュー氏も複数の女性と浮き名を流していたからだ。それでも離婚する95年まで、20年超の結婚生活を送った。

 その翌年、アンドリュー氏は長年の不倫相手だった女性と再婚。カミラ王妃はチャールズ国王とダイアナ妃の離婚が成立した96年から9年待ち、2005年に再婚した。

「母は愛のためにチャールズ国王と再婚した」

 日本からみると「奔放」と表現できる夫婦関係である。そんな家庭で子どもたちはさぞ苦労したのでは……と思うところだが、どうやらそうとは言い難い。

 長男のトム・パーカー・ボウルズ氏(48)は、出生時に決めるゴッドファーザー(後見人的な立場)が、実はチャールズ国王である。現在はテレビ出演経験も豊富な有名フードライター。複数の著作を出版しており、数年前の出版記念パーティにはカミラ王妃が出席した。当時メディアに掲載されたツーショットでは、母子でご機嫌の表情を浮かべている。

 長女のローラ・ロープス氏(45)はアートキュレーターだが、メディアにあまり露出しない。06年にローラ氏が新婦となった結婚式には、アンドリュー氏とカミラ王妃が“父母”として出席した。

 このトム氏とローラ氏がそれぞれの配偶者ともうけた子どもたちが、戴冠式でカミラ王妃の「ペイジ・オブ・オナー」を務める孫3人となる。

 トム氏もローラ氏も表向きは仲良くしているだけでは……とまだまだ疑いたくなるだろう。チャールズ国王側には、日本でさんざん報じられた「悪女・カミラ夫人」像を掲げ続ける人物がいる。妻・メーガン妃との「王室批判」でおなじみのヘンリー王子だ。1月に出版した自叙伝『スペア』では、義母のカミラ王妃を“家庭を壊す邪悪な存在”のように描く箇所があった。

 母・ダイアナ妃は夫の不倫やパパラッチの猛攻に心を弱らせ、果ては悲劇的な最期を迎えた。その息子が言うのなら、近年のお騒がせぶりは脇に置いて信じたくもなる。だが、真っ向から“反論”したのは誰であろう、トム氏だった。『スペア』について語った際、「母は愛のためにチャールズ国王と再婚した」と言い切り、母に加勢したのである。

現在も「一枚岩」の関係を維持する「元夫妻」

 カミラ王妃の古い友人は英紙「タイムズ」に対し、アンドリュー氏が現在も王族と仲が良いことを証言した。ただし、少々「お行儀が悪い」行動をするため、カミラ王妃が電話で指摘することもあるという。逆にアンドリュー氏も、カミラ王妃のミスを指摘するそうだ。加えて情報筋は、双方の家族がよくランチをともにしていることを明かしている。

「2つの家族が互いに支えあっていることについて、特に驚きはない」と豪州の「スカイ・ニュース」に語ったのは、英紙「デイリー・ミラー」の王室記者である。いわく、アンドリュー氏が戴冠式に招待された理由は“混合家族”のデモンストレーション。アンドリュー氏とカミラ王妃は現在も“一枚岩”だという。

 カミラ王妃の再婚後、王室関連イベントなどで撮影された“元夫妻”のツーショットが出回るようになった。まったくもって平然と、なおかつ親密な雰囲気を漂わせて話す元夫妻は、まるで長年の友人か兄妹のようである。

 やはり、日本からみると理解を超えた関係性だ。「すべて計算ずくで動いている」という見方もあるようだが、長トム氏とローラ氏まで“共謀”しているとはさすがに考えにくい。そうなると、戴冠式で重要な役目を果たす孫たち3人も“共犯”になってしまう。

 英国の上流階級における独特の感覚なのか、それとも個人としてとことんウマが合うのか。摩訶不思議な関係性は、戴冠式の密かな見どころになりそうだ。

デイリー新潮編集部

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