【衝突の瞬間写真】 ウクライナ軍の装甲車が街中の電柱に激突して…… 原因は訓練不足か
電柱に激突し、苦笑いする兵士
ウクライナ東部の激戦地・バフムートまで約30キロ。湖畔のリゾートとして知られていたスロビャンスクは、いまウクライナ軍の軍事要塞となっている。約12万人いた住民の多くは避難し、空き部屋に兵士や警官が入居。街のレストランや商店は兵士で溢れている。戦争が長期化し、新兵を投入せざるを得ない状況ゆえのアクシデントもあるようだ――ボランティア活動を続けながら取材にあたる写真家・尾崎孝史氏の現地レポート。
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4月6日の午後6時、筆者があるボランティア団体の事務所に車で向かう途中、前方を走る1台の装甲車が目に留まった。丁字路に差し掛かったその軍用車両は、クラッチ操作を間違えたのか、車体を前後に大きく揺らしながら交差点に進入。その後もぎこちない動きをし続けると、直線道路でまさかの事態が起きた。突然、右側の歩道にあった電柱に衝突したのである。
電柱は根元からへし折られ、電線から火花が散る。車両に乗った兵士が飛び降り、目の前の商店から驚いた店員が出てきた。その直後、後ろにさがり始めた装甲車に電柱が直撃。切れた電線が筆者の車に当たり激しく発火した。身の危険を感じて急いで車外に出ようとしたものの、電線が車体に絡みつき、ドアは思うように開かない。車両に乗っていた兵士に声をかけると、「大丈夫」と言って、苦笑いしていた。
幸いけが人はいなかったようだが、道路は翌日も封鎖されたままだった。現場は見通しが良く、走行速度は時速50キロ程度。通常であれば事故が起こるはずもない。いったい、なぜこんなことが起きるのか。
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