中日移籍でようやく1勝…なかなか笑わない「涌井秀章」は本当はいい人だった

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好投しても報われず

 中日・涌井秀章(36)が、ようやく移籍後初勝利を挙げた。4度目の先発マウンドとなった4月26日の広島戦を7回3失点の好投。西武、ロッテ、楽天に続く4球団目での勝利となった。

「広島の先発はエースの大瀬良大地(31)でした。涌井はセットポジションで、牽制球も巧い。連打が出にくいと、広島サイドは警戒を強めていましたが、ここまで中日打線が挙げた総得点44はリーグワースト。もう一つ、中日が不利と思ったのは、涌井自身のことです」(スポーツ紙記者)

 それまで、涌井の投げた3試合の内容は計18イニング、防御率2.50。初登板となった4月1日の巨人戦では7回2失点。同8日のDeNA戦でも6回を投げ、失点2。18日のヤクルト戦こそ5回で後続にマウンドを譲ったが、失点2。登板した試合全てにおいて、先発投手としてしっかりゲームメイクしているのだ。だが、その3試合で味方打線が挙げた得点は、わずか1点だけ…。

 その好投しても報われない“悲劇ぶり”が、中日ファンに支持されているという。もちろん、涌井には勝ってもらいたいと思っているが、哀愁漂うベテランの姿に惹きつけられているようなのだ。

「ほとんどの選手は車、それも外車や高級車で移動しますが、涌井が自身のツイッターで電車移動をしている様子を明かし、好感を持ったファンも多いようです。これまでフリーエージェントやトレードで移籍を繰り返してきたこともあり、孤高の人、というイメージも逆に注目される要因なのでは。本人と話してみると、後輩思いで優しいところもあるんですが」(前出・同)

 投手出身のプロ野球解説者によれば、先発投手は「孤立しがち」だという。一度登板したら、次の試合出場は中6日の一週間後。チームに帯同して試合前の練習をいっしょに行う日もあるが、練習終了と同時に帰ってしまうそうだ。遠征ともなれば、先に移動しての完全別行動となる。

「涌井は高卒1年目から先発ローテーション入りしていたので、個人行動が当たり前になっています。シーズン中は、一人で移動し、一人で練習をしてという生活でした」(関係者)

 後輩を集めて自身のグループを作る先発投手もいるが、涌井はしなかった。また若手時代、女性遍歴を写真週刊誌にスッパ抜かれたこともあれば、当時の西武球団の年俸査定に不服を唱え、NPB(日本野球機構)が仲裁に入る「年俸調停」に発展したこともあった。

「年俸調停は2011年1月。同年の開幕投手は涌井でした。チームの看板選手でしたが、『おカネでモメるのは、球団、本人にとってもイメージダウン』と当時の西武幹部は考えていたので、職員は彼のことをよく思っていませんでした」(ベテラン記者)

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