テレ朝、日曜夜10時の新ドラマ「日曜の夜ぐらいは…」は脚本に注目すべき理由

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「善玉」「悪玉」に記号化されない登場人物

 登場人物を「善玉」「悪玉」などと記号化しないのも岡田作品の特色の1つ。出てくる人たちにはそれぞれに良い面と悪い面があり、人間臭い。

 NHK連続テレビ小説「ひよっこ」(2017年度上期)では、茨城県奥茨城村に住むヒロイン・みね子(有村架純・30)の父・実(沢村一樹・55)が、出稼ぎ先の東京で行方不明になる。

 母・美代子(木村佳乃・47)は血相を変えて上京し、赤坂警察署に捜索願を出したものの、担当した警官は事務的で冷淡だった。「奥さん、見つかると思わないほうがいいよ。一応、預かるけどね」。美代子は悔しくて涙が出た。

 それを見ていた茨城県出身の若い警官・綿引正義(竜星涼・30)が美代子を呼び止め、こう言う。「私、ご主人のこと、出来る限り捜したいと思うのですが」。理由は「同じ茨城県人」ということだけ。美代子はうれしくなり、また涙が出た。

 どちらのタイプの警官も実在しそうだった。事務的な警官も多くの捜索願を受け付けているのだろうから、強くは責められない。一方で郷土愛の強い綿引は非番の日を使って、実を捜し始めた。

 その後、みね子は高校を卒業し、東京のトランジスタラジオ工場で働き始める。初めての給料は1万2000円。そこから寮費などを引かれるので手取りは6000円に過ぎない。みね子はそのうち5000円を美代子に仕送りした。

 美代子はみね子にお礼の手紙を出す。平易な言葉で登場人物たちの深い思いを表すのも岡田作品の特色で、この手紙もそうだった。

「仕送り本当にありがとう。無理してませんか。みね子が働いて送ってくれたお金は、大切に大切に使わせて頂きます。本当にありがとう――」(美代子の手紙)

「ありがとう」と「大切に」が繰り返されているところに美代子の深い感謝といくらかの心苦しさが表れていた。

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