テレ朝、日曜夜10時の新ドラマ「日曜の夜ぐらいは…」は脚本に注目すべき理由
テレビ朝日の新設ドラマ枠(制作は朝日放送テレビ)で30日から放送される「日曜の夜ぐらいは…」(日曜午後10時)への注目度が高い。主演の清野菜名(28)と助演の岸井ゆきの(31)、生見愛瑠(21)への関心の高さの表れでもあるだろうが、最も視聴者を期待させるのは名匠・岡田惠和氏(64)による脚本ではないか。なぜ、岡田作品は魅力的なのか。
日常をきちんと描く岡田惠和作品
岡田作品には殺人事件も考察もない。一方で、ドラマが省略してしまいがちな日常がきちんと描かれている。例えば台所で料理をする場面や家族でそれを食べるところ、夫婦や親子での散歩や近所付き合いである。
テレビ東京のスペシャルドラマ「人生最高の贈りもの」(2021年)での墓参りもそうだった。描くドラマは数少ないが、重要な意味を持っていた。
妻を亡くした父親(寺尾聰)が1人で暮らす家に、既に嫁いでいる1人娘(石原さとみ)が帰って来た。父親は「どうした?」と心配するが、娘のほうは「何もない」と笑うばかり。
娘は何日も滞在を続けた。特に変わった様子はなかった。だが、父親が妻の墓参りに行くと、娘が墓石の前で身をよじって泣いていた。
父親は青ざめ、娘の夫(向井理・41)に会いに行く。夫は厳に口止めをした上で、娘がガンで余命が少なく、亡くなる前に父親とありふれた日常を送ることを望んでいると打ち明ける。
父親は再び墓の前に立つ。
「なんてこった、どうすりゃいいんだ」
誰にも明かせないから、何も答えてくれない妻に相談した。
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