芸能界きってのプロレス好き 有田哲平が“あえて”レスラーと親しくしないワケ「むかし長州さんとの対談で…」

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女子プロ界に感じる“飢え”

――スターダムのジュリア選手とも対談しました。番組ではスターダムを取り上げることが多く、ファン獲得にも貢献しています。ただ公式ガイドブックでは褒めるだけでなく、“キラー猪木”ならぬ“キラー有田”というか、もっと戦いがほしいと厳しい発言もしています。

 もちろん女子プロレス界がメジャーになっていく過程において、華やかで、間口も広くて、初めて見に行った方たちがぽんっと入っていけることはすごく大事だと思うんです。それでも、どこかで飢えている。女性ならではのドロドロとした戦い、遺恨というか。それを昔の全日本女子プロレスなんかはうまく使って試合をしていたと言われていますが、最近はそれがあまりない。

 ああいう戦いが見られると配信があるから見ようではなく、チケットを買ってでも会場に行かなきゃとなる。昔でいえば橋本真也対小川直也(※1)、最近だとオカダ・カズチカ対清宮海斗(※2)もそうでしたけど、生で見ないとまずい。何が起こるかわからない試合がもっと女子プロの中にもあればという気持ちがどこかにあった。

 そこでジュリアさんに「そういうものも面白いんじゃないか」とぶつけたら、ジュリアさんは僕以上に戦いをまず一番に置いている方でした。ジュリアさんがキャバクラの同伴でプロレスの試合を見に行って、プロレスラーになったことは有名な話ですが、実はその時プロレスを見て「なんで戦いの前にこんなに手を振っているんだろう。私、これだったら勝てるぞ」と思って、この世界に入ったという話も聞けて。ジュリアさんを追っていると、彼女が持っている赤いベルト(ワールド・オブ・スターダム王座)が、まさに熱い戦いを見せる、そういうベルトになっていってますよね。

――番組でも話されていた北斗晶対神取忍(※3)のような試合ですね。いまだに仲が悪いという噂もあります。ただ、プロレスの面白さは不仲でもむしろ試合として成立してしまう点です。

 そうなんですよね。あの試合を見ていたら不思議でしょうがない。喧嘩をしているけど、試合も成立しているんですよね。 どういう気持ちの中で戦っていたのか。ああいう何十年経っても、僕らみたいな擦れたプロレスファンが語れるような試合がもっと出てくると面白いですよね。

後編【「根底にあるのはスタッフとの信頼関係」有田哲平が語る“しゃべくり”“脱力タイムズ”に活きるプロレスでの学び】へつづく

※1「橋本真也対小川直也」
“1・4事変”と呼ばれる1999年1月の不穏試合から因縁が生まれ、2000年4月には橋本真也が「負けたら即引退」を宣言して小川直也と対戦。試合はゴールデンタイムで放送された。

※2「オカダ・カズチカ対清宮海斗」
2023年1月21日の横浜アリーナ大会でNOAHの清宮海斗が新日本プロレスのオカダ・カズチカの顔面を蹴撃。2月21日の東京ドームで開催された武藤敬司引退興行でシングルマッチが組まれ注目を集めた。

※3「北斗晶対神取忍」
1993年4月の女子プロレスオールスター興行で行われた一戦。プロレスを超えた壮絶な喧嘩マッチで大流血戦となり、ファンの間では伝説の名勝負として知られる。

徳重龍徳(とくしげ・たつのり)
ライター。グラビア評論家。大学卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。記者として年間100日以上グラビアアイドルを取材。2016年にウェブメディアに移籍し、著名人のインタビューを担当した。現在は退社し雑誌、ウェブで記事を執筆。個人ブログ「OUTCAST」も運営中。Twitter:@tatsunoritoku

デイリー新潮編集部

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