グローバル・サウスにとってウクライナは“厄介者” スーダン内戦への武器流入を疑う見方も

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けっして「模範的な国家」ではないウクライナ

 日本ではほとんど知られていないが、国際通貨基金(IMF)が3月31日、ウクライナに対して4年間で総額156億ドルの金融支援プログラムを承認した際、グローバル・サウスは強烈な不満の意を表した。

 IMFはこれまで、戦争状態にある国については人道上の緊急支援しか行ってこなかった。2年前に内戦が起きたエチオピアはIMFから満足な支援を受けることができなかったのに、ウクライナは大規模な支援を受けることができた。IMFが戦争状態にあるウクライナを支援できるよう、内部規定を変更したからだ。

 西側諸国が特別扱いしているウクライナは、けっして模範的な国家ではない。かねて世界有数の「汚職国家」と呼ばれており、ロシアの侵攻後もその状態はあまり変わっていないようだ。

 ピューリッツアー賞を獲得した経歴を持つ米国の著名ジャーナリスト、シーモア・ハーシュ氏は4月14日「ゼレンスキー大統領とその側近は昨年、ディーゼル燃料の調達を目的とした米国の資金から少なくとも4億ドルを横領した」とする記事をオンラインメディアに公開した。

 西側メディアは沈黙を守っているが、これが本当だとすれば、IMFからの資金の多くは政権幹部の懐に入り、ウクライナ国民の生活向上のために活用されることはないだろう。

 グローバル・サウスの不満の根底にある「ウクライナびいき」というもう1つの「不都合な真実」に向き合わない限り、西側諸国は彼らから広範な支持を得るのは難しいのではないだろうか。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮編集部

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