好スタートの福山雅治「ラストマン」 指をパチンと鳴らす姿も…イタリアで2年前に大ヒットした作品に酷似
刑事・警察ドラマが世界的に多い一番の理由とは
春ドラマのプライム帯(午後7時~同11時)には刑事・警察ドラマが5本ある。全体が16本だから、約3分の1。しかし、刑事・警察ドラマが多いのは欧米も同じで、日本はむしろ少ないくらいなのだ。
刑事・警察ドラマが世界的に多い一番の理由は明快。物語のバリエーションを豊富に出来るからだ。例えば画商を殺人の被害者にすると、あまり知られていない絵画の取り引きの実態が描ける。女優を被害者にすると、芸能界やドラマ界の裏側を表せる。新薬開発をめぐる犯罪を題材にすると、薬品メーカーの暗部から新型ウイルスのことまで取り上げられる。
刑事・警察ドラマの可能性は無限大。新聞に載っている事件・事故で、ドラマ化できない事柄はない。だから多いのである。お仕事ドラマやラブストーリー、ホームドラマではマネできないのだ。
ただし、欧米の刑事・警察ドラマはどんどん進化している。日本の大半の刑事・警察ドラマのように、刑事が聞き込みとカンで犯人を捕まえる作品は視聴者に飽きられてしまった。
新しいタイプの刑事・警察ドラマの一例はアメリカで大ヒットした「NUMB3RS」(邦題「NUMBERS 天才数学者の事件ファイル」、2005年)。天才数学者とFBIが数式やビッグデータなどを駆使して事件を解決する物語で、5年間も続いた。ちなみに数学はFBIの実際の捜査でも使われている。例えばプロファイリングは数学だ。
イギリスでは時代設定を大戦前後にした「Foyle's War」(邦題「刑事フォイル」、2002年)が大ヒット。13年も続いた。混乱期における国家の横暴や困窮した市民が起こす事件などを警視正刑事が追った。現代史も分かるドラマだった。
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