好スタートの福山雅治「ラストマン」 指をパチンと鳴らす姿も…イタリアで2年前に大ヒットした作品に酷似

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ガラパゴス化した日本の刑事・警察ドラマ

 かなり似ているが、非難するつもりはない。むしろ逆。ようやく日本のドラマ界も欧米並みになり、刑事・警察ドラマで障がい者と健常者の共生を描く時代に入った。

 刑事・警察ドラマは共生を描きやすい。捜査は必ずチームプレイだからである。共生をテーマにすることは欧米の刑事・警察ドラマにおける使命の1つになっている。

 一方、刑事たちが聞き込みやカンで犯人に辿り着き、あの手この手で犯人を自供させるような刑事・警察ドラマは日本ぐらいにしかなく、ガラパゴス化している。欧米ではほぼ消えた。日本でもT層(13~19歳)はほとんど観ていない。

 アメリカで大ヒットした連ドラ「Hunt for the Bone Collecto」(邦題「リンカーン 殺人鬼ボーン・コレクターを追え!」、2020年)の場合、捜査中の事故で四肢マヒとなった元天才科学捜査官が健常者の現役捜査官と協力し合い、難事件に立ち向かう。

 聴覚障がいのFBI捜査官が相棒の聴導犬と事件を解決する連ドラ「Sue Thomas:F.B.Eye」(邦題「F.B.EYE!! 相棒犬リーと女性捜査官スーの感動!事件簿」、2002年)もやはり大ヒットした。こちらは実話に基づいていた。

 障がいのある人物の役柄は主人公とは限らない。イギリスの刑事・警察ドラマの場合、車椅子を使っている人や低身長症の人がごく自然に捜査チームに加わっている。障がいのある人が登場する作品はラブストーリーばかりという点でも、日本のドラマはガラパゴス化していた。

「ラストマン」は皆実の超人的な能力と推理、相棒の護道心太朗(大泉洋・50)とのやり取りが面白いが、共生もしっかりテーマになっているのが分かる。それは皆実が護道に言ったこのセリフにも表れていた。

「ハンディキャップのある人間が全員、聖人君子だと思ったら、大間違いです。私たちは特別でもなんでもありません。どこにでもいる、ありふれた人間です」

 みんな同じ。障がい者と健常者に境目はないということでもある。

 現時点での捜査1課の皆実への反応は冷ややかで、班長の佐久良円花(吉田羊・49)は「メチャクチャなだけでしょ」と冷ややかに評した。だが、やがて課内から偏見や思い込みが一掃されるはず。既に捜査支援分析センターの吾妻ゆうき(今田美桜・26)は皆実を尊敬し始めている。ブランカも封建的な警察組織全体を変えていった。

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