単独最下位から優勝した11年前の再現なるか カギを握る「令和のスコット鉄太朗」

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菅野に代わる新エースの登場

「12年は内海哲也(39=埼玉西武ファームコーチ)が2年連続で最多勝のタイトルを獲り、前年の18勝がマグレでないことも証明しました。ようやく、エースと認められるようになった年でもあります」(ベテラン記者)

 新エースとして、思い浮かぶのが戸郷翔征(23)だ。キャンプ中の2月13日のことだが、こんなシーンが見られた。現エースの菅野智之(33)がキャンプ5度目のブルペン投球を行っていたのだが、少し離れたところで戸郷が投球練習を開始すると、他投手、コーチ、チームスタッフらが集まり出したのだ。無言で戸郷の投球を遠巻きに眺め、グリフィン(27)、ビーディ(29)、メンデス(28)らの外国人投手たちも足を止め、しばらくその力強い投球に見入っていた。はっきり言って、菅野は素通りされていた。

「戸郷はWBC大会に備え、ハイペースで調整していました。菅野はプレート板の前に両足を置く新投球フォームを試していたので一概に比較することはできませんが」(現地記者)

 その菅野だが、オープン戦前半までテストしていた新投球フォームを止め、途中から上半身を先に稼動させる20年のスタイルに変更している。中川がフリー打撃に登板した22日も「20年スタイル」で投げていたが、投球フォームの改造が裏目に出ている感も否めない。

「ボールをリリースする瞬間、右足に力が入らないと嘆いていました。近年、投球フォームを変えているのはそのせいです。右足でしっかりプレート板を蹴れないのが、不振の本当の原因。試行錯誤はまだ続いています」(前出・関係者)

 戸郷がエースとして君臨しなければ、12年の再現はない。

 12年に巨人が息を吹き返したきっかけとなったのは、セパ交流戦。巨人がセ・リーグ初の交流戦優勝を決めたが、同年、勝率5割以上をキープできたセ球団は巨人と中日だけ。“他力本願”もあったのだ。ヤクルト、阪神、DeNAといった今季の上位チームが交流戦を乗り切ることができなかった場合、セ・リーグも混戦となるだろう。

「これから先のプラス要素を持っているのは、中川を温存している巨人と、MLBサイ・ヤング賞投手のトレバー・バウアー(32)が調整中のDeNAでしょう。そのバウアーは28日の二軍戦で投げた後、一軍昇格する予定です。ゴールデンウィーク中のヤクルト3連戦か、5月11日の巨人戦がデビュー戦となりそう」(前出・スポーツ紙記者)

 仮にヤクルト3連戦がバウアーの一軍初マウンドとなった場合、次の登板は阪神戦となる。巨人浮上の援護射撃となる可能性は高い。12年再現のキーマンである中川は交流戦からの登板が予想される。原監督は「令和版・スコット鉄太朗」を構築できるだろうか。

デイリー新潮編集部

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