単独最下位から優勝した11年前の再現なるか カギを握る「令和のスコット鉄太朗」

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最下位から日本一になったシーズン

 巨人が最下位を再び脱出したのは、4月22日のヤクルト3連戦の2試合目だった。翌23日も勝利したが、最下位争いのライバル・中日も勝ったため、両チームのゲーム差はゼロに。消化試合数の多い巨人が勝率で1分1厘ほど上回り、なんとか5位をキープできているという状態だ。

 巨人の単独最下位は「2018年6月9日以来5年ぶり」と報じられたが、このシーズン終了時には3位でAクラスを確保したものの、広島カープの独走を許している。

 原辰徳監督(64)のもとでの最下位は2012年4月25日以来、11年ぶりとなるのだが、実はこのシーズンはその後巻き返し、なんとリーグ優勝、そして日本一に輝いているのだ。

 では、12年のシーズンと18年の違いはどこにあるのか。そして今季は12年のような大反撃を再現できるのか……。そのカギはファームにあった。

「12年シーズンの勝因は、交流戦と『鉄腕リリーバー』のおかげですよ」

 当時を知る関係者たちがそう言う。

 鉄腕リリーバーとは、現一軍投手コーチの山口鉄也(39)のこと。同年72試合に登板している。前年も60試合に登板しており、そのタフネスぶりはすでに認められていたが、12年は開幕24試合連続無失点のリーグタイ記録も樹立している。登板数、ホールド44はリーグトップで、安定感という点でも首脳陣は絶対的な信頼を寄せていた。

「西村健太朗(37=現ジャイアンツアカデミーコーチ)も69試合に投げ、スコット・マシソン(39)が40試合に登板しました。マシソンは怪我で一時帰国した時期もありましたが」(前出・関係者)

 この3人のフル稼働で12年の巨人は順位を上げて行き、7月以降は一度も首位を明け渡すことなく、リーグ優勝を果たした。山口、マシソン、西村の継投策は「スコット鉄太朗」のニックネームでも呼ばれるようになった。

「令和のスコット鉄太朗」

「今の巨人には大勢(23)という絶対的な守護神がいますが、中継ぎ投手が安定しません。大勢を投入する試合展開を作れないんです」(スポーツ紙記者)

 とはいえ、ファームには「令和版・スコット鉄太朗」の一角を担えるリリーバーが眠っている。中川皓太(29)だ。中川は21年に左脇腹の故障で現在は「育成選手契約」となっている。4月22日にフリー打撃に登板しているが、まだ実戦登板はしていない。

「いや、本当は2月キャンプ後半には実戦登板も可能だったんです。再発を恐れ、原監督が練習もペースダウンさせたほど。本人は投げたくてウズウズしているでしょうし、22日のフリー打撃にしても松田宣浩(39)から空振り三振を奪うなど、状態は『一軍レベル』に到達しています」(前出・関係者)

「再発を恐れて」ということは、原監督も中盤戦以降に起用するつもりでいるのだろう。またこれまで先発で調整させていた直江大輔(22)や、新人の田中千晴(22)をリリーフで起用している。不振で降格したリリーバーのヨアン・ロペス(30)、船迫大雅(26)を投手再生で定評のある久保康生・巡回投手コーチ(65)に預けるなど救援陣の強化を進めていた。彼らが中川といっしょに再昇格してくれば、一人で70試合に登板できないとしても、リリーフ陣の層は一気に厚くなる。

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