オリックス・山下舜平大だけではない…公立高校→国立大出身の“新星候補”も急成長

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巨人戦で7回をパーフェクト

 セ・リーグの投手でブレイクの兆しを見せているのが、大学卒3年目の村上頌樹(阪神)だ。層の厚い投手陣というチーム事情もあってなかなか一軍での登板機会に恵まれていなかったが、二軍では1年目に10勝1敗、2年目も7勝3敗と見事な成績を残している。

 今年はようやく初となる開幕一軍を勝ち取ると、開幕2戦目のDeNA戦でプロ初ホールドを記録。今シーズン初先発となった4月12日の巨人戦では、7回まで打者21人をパーフェクトという快投を見せたのだ。完全試合の大記録まであと2イニングというところで降板となり、後を継いだ投手が同点に追いつかれたため、プロ初勝利を逃すも、おの快投には阪神ファン以外からも称賛の声が多く上がっていた。

 昨年までは球威不足が課題となっていたものの、今年はコンスタントに140キロ台後半をマークするようになり、投球が明らかに力強くなった印象を受ける。もともと制球力と投球術に定評があるだけに、高い出力を維持することができれば、また、巨人戦のような快投を見せる可能性が高い。強力投手陣の阪神にまた新たな戦力が加わったと言えそうだ。

シーズンの行方を左右する新星は現れるか

 野手で殻を破りつつあるのが、ともに複数球団による競合ドラフト1位でプロ入りした藤原恭大(ロッテ)と石川昂弥(中日)の2人だ。藤原は開幕時点では9番だった。その後、結果を残して4月8日の楽天戦からは1番に昇格した。その後もヒットを量産し、パ・リーグでトップとなる打率.317をマークしているのだ(4月20日終了時点)。

 三振数がリーグトップというのは課題だが、持ち味である積極性が光り、19安打中7安打が長打となっている(4月20日終了時点)。これまでも好不調の波の大きさが課題だっただけに、今年は何とかこの調子を維持したいところだ。

 一方の石川は、昨年膝を手術した影響で、開幕は二軍スタートとなったが、4月8日のソフトバンクとの二軍戦で場外ホームランを放ち、復調をアピールして、4月14日には一軍昇格。一軍復帰後は5試合全てで出塁し、20日のヤクルト戦では待望のホームランが飛び出し、長打力を見せつけている。チームは新外国人選手がなかなか機能せず、相変わらずの長打力不足に苦しんでいるだけに、このまま石川が4番に定着ということも十分に考えられるだろう。

 昨年も、オリックスでは阿部翔太や宇田川優希、ヤクルトでは木沢尚文や長岡秀樹といった実績のない選手が大きく成績を伸ばし、それがチームの好成績にも繋がっている。今年もシーズンの行方を左右するような新星が他にも現れてくることを期待したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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