オリックス・山下舜平大だけではない…公立高校→国立大出身の“新星候補”も急成長
エース山本由伸の“後釜”候補
パ・リーグ3連覇、日本一連覇を狙うオリックスにまた新星が現れた。今年で高校卒3年目となる山下舜平大である。昨年までの2年間は一軍での登板はなかったものの、キャンプ、オープン戦で強烈にアピール。山本由伸、宮城大弥の左右のエースがワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場していたこともあって、プロ初登板で開幕投手を任せられると、勝ち負けはつかなかったとはいえ、6回途中まで投げて1失点、7奪三振と好投。続く4月11日の楽天戦では5回を投げて無失点、10奪三振の見事な投球で、プロ初勝利をマークしたのだ。【西尾典文/野球ライター】
ここまで防御率0.87、奪三振率14.81という成績(4月20日現在)ももちろん素晴らしいが、身長190cm、体重98kgの堂々とした体格から投げ込む160キロに迫るストレートで打者を圧倒するピッチングからは並々ならぬ“大物感”が漂っている。エースの山本は数年以内のメジャー移籍が噂されているが、その後釜候補としてこれほど頼もしい存在はいない。
山下と同学年である高橋宏斗(中日)もWBCで快投を見せるなど早くもリーグを代表する投手へと成長しており、彼らのように近年は高校卒、大学卒にかかわらずプロ入り後に早くから主力となる選手が非常に目立つ。そして他にも楽しみな“新星候補”は少なくない。
ブルペン陣を支える存在に成長
山下以外の投手でブレイクの兆しが見られるのが、2年目の佐藤隼輔(西武)だ。ルーキーイヤーの昨年は、12試合に登板して3勝4敗、防御率4.60と安定感を欠いていた。
しかし、今年は平良海馬が先発に転向したことで、中継ぎに配置転換となると、開幕から7試合連続無失点と好投(4月19日現在)。好調なチームのブルペン陣を支える存在へと成長しているのだ。
昨年は140キロ台中盤が多かったストレートが、今年は常時150キロを超えるようになり、その数字以上の勢いが感じられる。ストレートの球威アップに伴って、決め球であるスライダーも威力を発揮するようになった。ただ、この活躍について、スカウト陣からはある意味“想定内”という声も聞こえてくる。
「大学4年の秋季リーグの開幕戦にわき腹を痛めたことが影響したと思いますが、もともとドラフト2位まで残っていたことが不思議な投手です。最終学年が万全の状態だったら、1位重複の可能性もあったのではないでしょうか。公立高校(市立仙台高校)出身で、大学も国立の筑波大なので、体力的な面は強豪校出身の選手と比べると少し劣っていたかもしれませんが、昨年1年間プロでしっかり鍛えたことで一気に良くなりましたね。マウンド上でも落ち着いていますし、リリーフに向いていると思います」(セ・リーグ球団スカウト)
このスカウトも話しているように、佐藤は大学2年時には早くも大学日本代表に選ばれており、その年の日米大学野球ではリリーフで5試合に登板して無失点と中継ぎとしての経験を備えている。筑波大の川村卓監督は、佐藤について「こちらが少し焦るくらいマイペースな性格」と話しており、緊迫した場面のセットアッパーに向いていると言えそうだ。
[1/2ページ]