日ハム「エスコンフィールド北海道」不人気のなぜ 専門家は「今はドブ板選挙をやるしかない」

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ファンが誇りに思う選手

 結局のところ日ハムが弱いから観客が来ない──こうした指摘も少なくないが、小林氏は「チームが強いからといって、必ずしも観客動員が多いとは限りません」と言う。

「どんなに強いチームでも年間の勝率は6割前後です。プロ野球のチーム経営は奥が深く、優勝をしても約4割は負けてしまいます。映画や音楽といったジャンルに比べると、本質的にファンの満足度は低いはずなのです。だからこそ勝率以外の要素でファンを惹きつけることが必要になってきます」(同・小林氏)

 小林氏は「日本のプロ野球ファンは情で動きます。ファンが最も必要としているのは『おらが街のスター選手』なのです」と指摘する。

「ファンが誇りに思うスター選手が必要ですから、FAより生え抜きが理想です。さらにピッチャーよりホームランバッターのほうが人気は出ます。先発するピッチャーは中5日とか中6日の間隔が空きますが、バッターは毎試合の出場が可能だからです」

 2016年、日ハムは日本シリーズで広島カープを下して日本一に輝いた。札幌ドームで行われた第3戦のスタメンを見てみよう。

1番:西川遥輝(左)
2番:近藤健介(右)
3番:大谷翔平(指)
4番:中田翔(一)
5番:岡大海(中)
6番:ブランドン・レアード(三)
7番:田中賢介(二)
8番:大野奨太(捕)
9番:中島卓也(遊)
投手:有原航平

「大スターの大谷と中田が並び立ち、西川やレアードも人気を集めました。これだけの選手層なら、たとえ優勝を逃しても観客動員が期待できます。翻って今の日ハムを見ると、やはり道民の支持を得られるスター選手が不足していることが浮き彫りになります」(同・小林氏)

重荷だった新球場建設

 観客動員やチーム編成で充分な成果が上がっていないのは明確な理由があるという。皮肉なことに、魅力あふれるエスコンフィールドの建設が原因だと小林氏は言う。

「日ハムは資金も選手も潤沢というチームではありません。新球場の建設は、球団はもちろん親会社にとっても史上最大級のプロジェクトで、どうしても、リソースはそこに割かざるをえません。営業やチーム編成はやや疎かになっていたと思います」

 小林氏は「ファンをつなぎ止めておく施策が弱かった」と指摘する。確かに2019年ごろからチームの成績は低迷し、観客動員数も12球団の中で下位に甘んじるようになった。

「エスコンが完成して順調に稼働し始めていますから、ここから巻き返すことでしょう。マンパワーを営業に注力することができますし、チームの再建に資金を回すことも可能になる。まずはチケットを1枚でも多く売り、長期的な視野に立って生え抜きのスター選手を育てることが重要です。言うは易く行うは難しだとはいえ、日ハムなら成功すると信じています」(同・小林氏)

デイリー新潮編集部

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