【叡王戦第2局】菅井竜也八段が「最高の振り飛車」で勝利 完敗の藤井聡太六冠に2つの課題
4月23日、叡王戦五番勝負(主催・不二家)の第2局が愛知県名古屋市の名古屋東急ホテルで行われ、挑戦者の菅井竜也八段(31)が藤井聡太六冠(20)に115手で勝利し、対戦成績を1勝1敗のタイにした。【粟野仁雄/ジャーナリスト】
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藤井が「完敗」
対局開始は午前9時だったが、菅井は8時半頃には対局室に入る気合の入り方だった。一方の藤井は8時50分頃に対局室に現れた。
先手番の菅井は初手「7六歩」と角道を開き、飛車を7筋に振る三間飛車。居飛車の藤井は「8四歩」と飛車前の歩を進める。藤井が角道を開くと、菅井が「6六歩」で止める振り飛車の常道で駒組みが進む。菅井が穴熊で盤の片隅に玉を囲うと、藤井も居飛車穴熊の陣形で対抗した。
藤井は42手目に「8六歩」で仕掛けてきたが、菅井にうまくかわされて攻めが続かない。結局、82手目に自陣最下段に逃げていた菅井の飛車を狙い「9八歩成」としたが、飛車が4筋に逃げる。これが菅井の4筋からの終盤の攻勢に大きく働くことになった。藤井は「5八」に歩を打ち、これを「5九歩成」として飛車を脅かしたが、その時点では菅井の攻めが早かった。
菅井が115手目に「6五角」を放つ。藤井の持ち駒に金や銀はなく、飛車と角だけ。これでは守り切れず、有効な反撃の筋も見当たらないため、午後6時前、藤井は「負けました」と投了した。
菅井はものすごく研究している
終局後、大盤解説場に現れた藤井は「こちらから攻めて行ったのが無理筋で、菅井八段にうまく指されてしまった。完敗だったのかな。次局は熱戦になるように頑張りたい」と話した。一方の菅井は「中盤が難しい将棋でしたが、中盤以降うまく指せたと思います」と勝利を振り返った。
ABEMAで解説していた三浦弘行九段(49)は、「失着とまでは言えないでしょうが、あえて言えば、藤井さんが8筋の飛車を7筋に回したことは、あまりよくなかったのでは」などと話していた。
菅井は41手目に「7九」に角を引いた。三浦九段と交代で解説していた若手の本田奎五段(25)は「居飛車党ではまず思いつかない手ですね。菅井さんはものすごく研究していたのだと思います」と感心しきりだった。
自分の飛車の周りを回るように動いていた菅井の角は、「7九」から「9七」に跳び出し、狙われていた「7五」の地点を守る含みも持っていた。振り飛車は守りを主体にした将棋という昔ながらのイメージを髣髴とさせた。
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