巨人の救いは「秋広優人」と「横川凱」 二人はどこが良いのか【柴田勲のセブンアイズ】

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秋広優人に期待

 そんな中、プロ3年目の20歳、秋広優人内野手がいい働きをしている。今季はまだ2試合で無我夢中でプレーしているが、このままやっていけばいい。

 見た限りでは難しい球を振っていない。この感じだ。22日のヤクルト戦、2回に小川泰弘から右中間を割る同点となる二塁打を放った。プロ初安打初打点は高めの甘く入ったストレートを捉えた。

 23日の同戦では2戦連続スタメンで2安打2打点だった。巨人が4点をリードした6回無死二、三塁では3-0から山本大貴の真ん中高めの真っすぐを見逃さなかった。貴重な追加点となる犠牲フライを放った。甘い球だった。

 たびたび指摘しているが、巨人の打者はボール球に手を出して相手投手を助けているケースが目立つ。甘い球を待つのは基本だ。

 岡本、坂本、中田翔らは多少難しい球に手を出してもなんとかなることがある。だが、いまの秋広にはそれだけの能力はない。それでも基本をしっかり守ることで活路を見いだすことができる。

 今後、対戦する投手たちはいろんなボールを投げてくるだろう。その時はベルトよりも高い球を狙う。ひざ元の球は振らない。四球を選んでもいい。ベンチはありがたいのだ。

1番・吉川尚、2番・坂本のコンビ

 投手もまた制球力だとつくづく思う。23日、5年目の左腕・横川凱が通算8戦目で初勝利を挙げた。5回を5安打2失点だったが18人の打者に四死球は0、これだった。

 四球を出すと、とにかく点に絡む。これがたとえ10安打されても無四球なら終わってみれば1、2点取られただけですんでいた。こんなことだってある。

 私も経験があるが、ブルペンでの投球練習では結構思ったところにいく。打者がいないからだ。これがいざ本番となると、打たれちゃいけない。甘い球はダメだ。余計なことを考える。

 結果を考えずに基本に忠実に投げる。自分がストライクを取れるボールを軸に常に外角低めを意識する。捕手もまた、ホームランを打たれてもいいから真ん中に投げてこい、こんな感じで構えてほしい。

 タイラー・ビーディを見ていると確かにいい球を持っている。だが小手先でこねくり回している印象がある。

 打たれちゃいけないという意識が強すぎてボール先行になって、最後は甘い球を打たれる。気持ちを切り替える。打たせて取る。こんな考えも必要なのではないか。直江大輔にしてもマウンド上で四苦八苦している。

 22、23日と連投した田中千晴は無心で投げている。自分の持ち球、自分が持っているものでストライクを取っている。しかもていねいだ。彼は巨人投手陣で唯一基本に忠実に投げていると思う。

 何度も繰り返すが1番・吉川尚、2番・坂本のコンビがいいのではないか。秋広、オコエ、中山らは7、8番あたりで使って活躍してくれれば儲けものである。

 25日からは甲子園に乗り込んで阪神3連戦、そして東京ドームでの広島3連戦。冒頭でも記したが一刻も早く5割にしてほしい。
(成績は24日現在)

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部

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