吉岡秀隆は27代目、高倉健や渥美清、ジャニーズも…「金田一耕助」を演じた俳優たちの評価は
歴代ナンバーワンの高身長・金田一は誰?
次は映画版だ。「男はつらいよ」シリーズの「フーテンの寅さん」で有名な渥美清は、77年公開の「八つ墓村」で12代目となった。麦わら帽子にくたびれたジャケット、腰に手ぬぐいという姿で、寅さんとはうって変わった生真面目さを前面に押し出した金田一であった。
名優・西田敏行は、79年1月公開の「悪魔が来りて笛を吹く」で13代目を務めた。依頼人の不安を優しく包み込む親しみやすい性格で、今までの金田一の中で最も“人間くさい”と評された。81年10月公開の「悪霊島」で15代目となった鹿賀丈史は、和装姿の飄々としたキャラクターを好演した。
96年10月公開の「八つ墓村」では、豊川悦司が20代目。歴代ナンバーワンの高身長(186センチ)に加えて、“走る金田一”や“躍動感ある金田一”といった新しい金田一像に挑戦した。本作は巨匠・市川崑監督が石坂浩二以外で唯一メガホンを撮った金田一映画としても貴重な1作といえる。
例外的な“金田一俳優”としては、古谷一行(10代目)主演の映画「金田一耕助の冒険」に出演した三船敏郎がいる。初代・金田一の設定で、劇中のサイレント映画に登場した14代目だ。三船プロが制作協力していたことから実現した起用だが、出番はほんの数カットでセリフなしの役であった。
歴代初の白髪頭…吉岡・金田一の魅力とは
近年のドラマでは、長瀬智也と山下智久の“番外編”も話題になった。23代目の長瀬は05年2月の「明智小五郎VS金田一耕助」(テレビ朝日系)に、24代目の山下は13年9月の「金田一耕助VS明智小五郎」(フジテレビ系)に出演した。ともにもう1人の名探偵・明智小五郎を絡ませた企画モノで、後者は翌年に続編が放送されている。
最後に今回で3作目となる27代目の吉岡秀隆に触れておこう。初登場は18年7月の「悪魔が来りて笛を吹く」(NHK BSプレミアム)。まず目に留まるのは、髪が短く歴代初の白髪頭という点だろう。
また、話し方や仕草が柔らかくほのぼのしているものの、人の心の闇や罪といった負の感情にとても興味を持っていて、それから逃れられない人である点も重要だ。
さらに罪を犯した人を責めるのではなく、寄り添っている点も見逃せない。どこか神経質でナイーブな印象のある吉岡ならではの金田一像といえるだろう。
今回の「犬神家の一族」(NHK BSプレミアム)は前後編で計3時間の長尺となる。番宣によると「これまでにない衝撃のラストが待っている」とのこと。期待大である。