吉岡秀隆は27代目、高倉健や渥美清、ジャニーズも…「金田一耕助」を演じた俳優たちの評価は

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原作に忠実な金田一は9代目の石坂浩二から

 原作に忠実な金田一が誕生したのは、76年10月公開の映画「犬神家の一族」だった。演じたのは石坂浩二。映画とドラマを合わせて9代目となる石坂・金田一は、和服に袴、お釜帽にボサボサ頭という原作の記述を忠実に再現した。興奮すると頭を掻き始めてフケを撒き散らしたり、口ごもったり する癖も原作通りだ。

 原作通りの金田一が実現した理由は、61年から75年まで14年間も金田一映画がなかったことが大きく関係していると思われる。1代目の千恵蔵・金田一を意識しない演出が容易となったのだ。

 以後、石坂浩二は市川崑監督とのコンビでリメイクを含む6作品に出演。風貌に仕草、事件解決の推理展開まで、「これぞ金田一」のイメージがようやく確立された。

 映画版・金田一俳優の代表格が石坂浩二なら、ドラマ版は古谷一行に尽きる。10代目となる古谷は77年4月、「横溝正史シリーズ」(TBS系)の第1作「犬神家の一族」に出演した。

 古谷はその後、2005年まで28年間にわたって金田一を演じた。しかも79年7月に公開された映画「金田一耕助の冒険」でも主演を務めたため、歴代の金田一俳優では最多の48作品に出演している。また、石坂・金田一の和装スタイルも引き継がれ、以後はおおむね定着することになった。

たった一度しか演じなかった「意外な大物」

 長期シリーズ化された石坂・金田一と古谷・金田一とは逆に、たった一度しか演じなかった俳優には、意外な大物の名前がずらっと並んでいる。

 まずはドラマ版から。77年10月の「土曜ワイド劇場・横溝正史の吸血蛾」(テレビ朝日系)に出演した愛川欽也は11代目だ。ヨレヨレのスーツ姿で身なりに無頓着だが、フケ症ではなく、妙に快活な老探偵といった雰囲気だった。

 90年3月の「犬神家の一族」(テレビ朝日系)に出演した中井貴一は17代目。正統派の和装ではなく、白いスーツに蝶ネクタイ、ハンチング帽、丸メガネというモダンな出で立ちで、助手の池田明子(松本伊代)を連れていた。

 19代目は同年10月の「女王蜂」(テレビ朝日系)に出演した役所広司。原作通りの和装姿だが、居眠りするクセが大きな特徴である。

 そして16年11月の「獄門島」(NHK BSプレミアム)に出演した長谷川博己が25代目となる。先に挙げた3人と比べて最も記憶に残る強烈な金田一像だった。

 戦争でトラウマを抱え、心に空いた穴を埋めるために、取り憑かれたように事件を解明していく姿は狂気そのもの。これまで同様、風変わりでとぼけてはいるが、どこかヒーロー然としていた金田一とは一線を画すキャラクターとなっていた。

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