藤浪晋太郎、“イップス”重症で引退危機 「野球を辞めるまで治らない」と専門家の指摘
「ショートアーム」も不発
球界では過去、イップスで現役引退に追い込まれた投手は多く存在する。症状を抱えながらも第一線でプレーを続けられたケースは野手が多い。投げること自体が“商売”の投手では致命傷となる。
藤浪のイップスのきっかけには阪神時代の2016年7月8日、先発した広島戦で序盤から制球を乱しながらも、教育的措置のように161球で強制完投させた金本知憲監督(当時)の采配が挙げられてきた。阪神では臨時コーチを務めた通算219勝の元中日投手、山本昌の指導を受けるなどしたものの、完全な克服には至らなかった。
前出の元監督はキャンプのブルペンで、捕手の真後ろから見た藤浪の投球練習を、こう回想する。
「テークバックがばらばらだった。特に(右腕を直角に曲げる)トップの位置。顔の前に来たかと思ったら、後ろに来たり。これだけ再現性がなければコントロールが定まらないのも無理はないと思った」
藤浪は197センチの長身でリーチも長い。意のままに操ることができれば利点になるのだが、逆に腕の長さを持てあましているように見えたという。
同じ190センチ超えの長身投手では、大谷翔平(エンゼルス)やダルビッシュ有(パドレス)がテークバックの際、内野手の送球のようにコンパクトに腕を折りたたむ「ショートアーム」に変えたことで、制球力の向上に成功した。肩、肘への負担が減る投法でもあり、メジャーで近年はやり、NPBでも高橋光成(西武)や山下舜平大(オリックス)ら取り入れる投手が増えている。
藤浪も今春のキャンプでは意識していたようだが……。
「ショートアームはテークバックをコンパクトにする分、球威が落ちることがある。藤浪の良さは荒れ球。制球がまとまっても球威が落ちれば、メジャーでは格好のホームランボールになる。変化球も前のフォームの感覚と同じではないはず。フォーム改造もままならず、八方塞がりになっているのではないか」(元監督)
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