「もう一生、女として見てもらえないの?」妻の圧に耐えられず、44歳夫が漏らした禁断の一言

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僕は救われていると思えた

 性によって険悪な雰囲気になり、それを排除すればいい関係になる。だが妻はそこに執着しているから、まったく排除することはできない。いつまでたっても「すっきりした夫婦」にはなれないと隆介さんは絶望的な気分になった。

「考えれば考えるほど、混沌として。子どもたちとはだんだん大人の話もできるようになってきて本当に楽しいんですが……。1年ほど前だったか、気分転換にふらっと行ったキャバクラで気になる女性ができたんです」

 いわゆる熟女キャバクラだった。大人の女性と話したいと思っていたら、ついてくれた女性が素敵な人だった。身の上話はいっさいしなかったが、頭の回転が速く、打てば響く。彼がダジャレを飛ばすとダジャレで返す。久しぶりに女性と楽しい会話を交わした満足感があった。

「また会いたいと思う気持ちがどんどん強くなった。彼女も『この年になって恋愛感情というものを初めて知った』と言ってくれて。半年後、ついに彼女と関係を持ちました。彼女にも夫がいるんですが、夫は病気で入院していると。どこまで本当かはわかりません。でもそんなことはどうでもよかった。会って抱き合うことで、僕は救われていると心から思えたんです」

今後、夫婦はどうすればいいのか

 そして今年、妻から離婚届をつきつけられた。最初は彼女とのことがバレたのではないかとビクッとしたのだが、実はレスが問題だった。

「あと1年で、レスが10年になる。この1年で答えを出してほしいと沙代は言うんです。でもまだ子どもが小さい。子どものこと は考えないのかと言ったら、『私、死にたい』と妻が泣き出した。思わず抱きしめました。下手に優しくしないでよ、する気もないくせにと突き飛ばされました。確かに妻とはできない。何も言えなかった」

 私がどんなに努力を重ねてきたか、あなただってわかってるでしょと沙代さんは言った。テーブルに強壮剤が置かれていても、粗悪なバイアグラをバッグに入れられても何も言わなかったのはオレの配慮だよと言いたかったが言えなかった。言ったところで彼の真意は届かないだろうと思ってしまったのだ。

「その代わり、そんなにしたければ外でしてくればいいよと言ってしまったんです。僕としてはある意味で本音でした。外でして家でご機嫌よくしてくれたほうが、今よりずっとありがたい。でも妻はそれを悪意に解釈したみたいですね。『そこまで言うなら、すぐにでも離婚したほうがいいかもしれないわね。あなたは私の心を殺しているの。犯罪者みたいなものよ』と。そこまで言うのかとびっくりしました。セックスは外注できると思うし、セックスがないほうが夫婦として、家族としてはうまくいくこともあるんじゃないでしょうか。僕にとってキャバクラの彼女は今、癒やしであると同時に刺激でもある。妻もそういう人を見つけられれば、お互いにすっきり暮らせるような気がするんですが」

 気持ちはわかるが、沙代さんがそういうタイプの女性でないことは彼がいちばんわかっているはずだ。それならどうすればいいのか。答えは出ない。これは男女を逆転しても通用する話だ。配偶者を異性として見られなくなることは「罪」なのだろうか。

前編【妻とだけは“できない”夫が語った「お母さん」との原体験 「女って怖いという友人の言葉を思い出した」】からのつづき

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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