「もう一生、女として見てもらえないの?」妻の圧に耐えられず、44歳夫が漏らした禁断の一言

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仕事用バッグに入っていたのは

 仕事が忙しいと理由をつけて医者には行かなかった。だが、沙代さんは「夫は医療的な意味合いでできなくなっている」と思い込もうとしているようだった。そうまでして自分のプライドを守りたいのかと彼はまたがっかりした。このあたりに夫婦の齟齬が見える。お互いに自分のことしか考えられなくなっているからだろう。

「そのころ、僕、学生時代の友人に誘われて風俗店に行ったんです。彼が風俗好きだったのでつきあわされて。だから、自分ができないわけではないこともわかっていた。結局、“妻だけED”だった。せつなかったけど、一緒に生活して一緒に子どもを育てている関係にエロスを持ち込むほうが無理なんだよと友人にも言われた。僕もそう思っていました」

 しばらくたったある日、彼の仕事用バッグの中に見慣れない封筒が入っていた。開けてみると、青い錠剤がいくつか入っている。「ネットで買ったバイアグラ。試してみようよ。沙代」とメモが入っていた。

「ネットで買ったバイアグラってヤバくないですか? どういうルートで買ったのかわからないけど、検索したら粗悪品の場合、命を落とす例もあると書かれていた。しかも、そういうものを人のバッグを開けて入れるという妻の神経がわからない。だったらちゃんと言って手渡しすればいいじゃないですか。これもちょっとムカッときましたね」

 彼はその件については妻に何も言わなかった。話題にすると妻に怒りをぶつけてしまいそうな気がしたからだ。だがおそらく、妻は自分の気持ちを無視されたと感じただろう。ふたりの会話はますます減り、子どもがいるから話すだけという状態になっていった。

「それでもたとえば、僕の父親が病気で倒れたときなんか、沙代は本気で心配していい医者を探してくれたりもしました。そういう彼女の人としての親切さはありがたいと思う。心からありがとうと言うと、その見返りを求めているのか体を寄せてきたりする。彼女との関係から性を抜くことができたら、きっといい雰囲気になるはずなのにと何度も思いました」

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