「もう一生、女として見てもらえないの?」妻の圧に耐えられず、44歳夫が漏らした禁断の一言

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「あなたから女として見てもらえないわけ?」

 下の子が5歳になったとき、家族で誕生日を祝った日の夜遅く、彼が食器を洗い終わってふとリビングを見ると、妻がスケスケのネグリジェでソファに座っていた。何を考えているんだと彼は怒りさえわいたという。

「思わず『どうしたの』と言うと、妻がさめざめと泣いている。『息子が5歳ということは、私があなたに遺棄されてから5年たつということよね』って。イキ、という言葉が遺棄を意味すると最初はわからなかったんですが、気づいてからそういう言い方をしなくてもと思いました。もういいだろう、今さらと言うと、『どうして? 私はもう一生、あなたから女として見てもらえないわけ?』って。いいチャンスなのかなと思って、『僕は沙代に、妻として母として敬意を抱いてる。その思いが強くなればなるほど、できないんだ』と言ったんです。本心は少しニュアンスが違うんだけど、その言い方のほうがいいかな、と思って」

 敬意なんていらないと妻は泣いた。だが、子どもを育てていく中で、敬意をもたせるように仕向け、言い訳ひとつ口答えひとつ許そうとしなかったのは妻のほうだと彼は思っていた。どうがんばっても、もう妻とはできない。そもそも性欲のかけらさえない。納得していない妻に向かって「どうもオレ、男としては終わってるみたいだからさ」と少しおどけてみた。

「やっぱりそうなのね。医者に行こう、いい医者を調べて、もう連絡もついてるの。あとはあなたを連れていけばいいだけなの、と妻は満面の笑みを浮かべている。そうやってすべて先回りしてドヤ顔になるところがいやなんだよと言いそうになったけど言えなかった」

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