「プーチンは単に恐怖を感じている」 病的な精神状態を元情報将校が暴露
大統領選も懸念
浮き彫りになったのは、独裁者の孤独と病的な妄執である。防衛研究所の兵頭慎治・政策研究部長は、
「これまでプーチンの通信の秘密を扱う部署の実態はほとんど明かされませんでした。彼がそこに強いこだわりを持っていたのは間違いなく、外国訪問時に巨大な機器を持参して肉声を漏らさないようにしていても、何ら不思議ではありません」
としながら、
「各地の執務室を同じデザインにしているというのも、映像などで特定されて所在地をつかまれないようにするためだと考えられます。もっとも、彼が暗殺や盗聴を恐れているのはウクライナ侵攻以前からで、今回のフィンランドのNATO加盟で、メンタルの状態がいっそう悪化する恐れはあります」
元時事通信社モスクワ支局長の名越健郎・拓殖大学特任教授も、こう言うのだ。
「バイデン政権きってのロシア通であるバーンズCIA長官は、一貫して『プーチンが自暴自棄になる可能性を考えると、核に頼る恐れを軽視できない』と語っています。それもあって米国は、ウクライナへの決定的な援助に踏み切れず、中途半端な対応が続いているのです」
不安要素はむろん国内にもあり、
「これまでプーチンを支持してきたロシアのエリート層が、戦争の長期化に伴う欧米からの制裁で孤立し始めている。来年3月の大統領選に向け、彼らから『あと6年任せていいのか』といった議論が出てくると、支持層の分裂をもたらす可能性もあります」
基盤が揺らげば、ますます捨て鉢になりかねない。
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