「どうする家康」で感じる大河ドラマの難しさ 豪華キャスト、売れっ子脚本家起用で見えるNHKの思惑とは
北川景子の変顔も
「お市は最初、小豆袋を兵士に託すのですが、それが捕まってしまう。次いで侍女の阿月(伊東蒼)が夜通し走って、家康に『おひき候へ(逃げろ)』という言葉を伝えて息を引き取るという胸を打つ設定にしました。伊東は子役出身の17歳で今後の活躍が期待されますが、彼女が走る間にはお市との回想シーンが入り、北川との変顔対決シーンを盛り込むなど現代ドラマ的な要素もありました」
ところが、11%台だった。
「昨年の『鎌倉殿の13人』と同時期の視聴率を比べてみましょう。22年4月17日放送の第15話『足固めの儀式』の視聴率は、世帯12・9%、個人7・6%でした。ちなみに全話の平均は12・7%ですから、それよりもやや落ちていることがわかります。ただし占拠率で見ると、『鎌倉殿』の20・5%に対し、『家康』は19・9%とほぼ互角です」
問題は視聴者層だという。
視聴者層は変わらず
「たとえ視聴率が落ちても、若者層が見てくれればNHKの目的は達せられます。ところがコア層(13~49歳の男女)で見ると、『鎌倉殿』は3・0%でしたが、『家康』は2・5%に落としています。松潤ファンが多そうなF2層(35~49歳の女性)も、3・6%から3・2%へと落としました。F1層(20~34歳の女性)、M1層(20~34歳の男性)ともに1%台で見向きもされていません。一方、F3層(50歳以上の女性)とM3層(50歳以上の男性)は、昨年より若干落ちてはいるものの二桁をキープしています。結局、出演者や内容を若者向けに変えたところで、なかなかうまくいかないということでしょう」
こんなに頑張っているのに、なぜ見てもらえないのだろう。
「放送の翌日、“ねぇねぇ、昨日の『どうする家康』見た?”と友達や知人に話したくなる内容がまったくないからでしょう。22年10月期の『silent』(フジ)や今年1月期の『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ)にはそれが満載です。共有できる生活感も多かった」
とはいえ、大河ドラマにそれを求めるのは無理がある。
「“金ケ崎の退き口”のアレンジなんて若い人は話題にしませんし、そもそも小豆袋の件を知っていなければ楽しめないでしょう。ですから、大河ドラマで若い人を取り込もうという考えが無理なのでしょう。NHKの看板ドラマなら、堂々と続ければいい。それを見失って、若い人から見てもらえず、高齢の視聴者層からも見放されることになっては、本末転倒でしょう」