懐かしき昭和喫茶の魅力 SNSで全国819軒を紹介した、マニアが挙げる「6つの名店」

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1週間に3時間しか営業しないレア店も

 昭和喫茶を探す際に平山氏が注目するのは、内外観のデザインとインテリアだ。

「凝り過ぎてない、普通な感じのデザインがツボです。それをなるべく当時の状態を保っていることが重要。でも多くの店が、インテリアや内装の一部を入れ換えたり、外観をリフォームしてしまったりしているんですよ」

 好きな店舗は見開きで取り上げるようにしたという。なかでも好きな店を聞くと、「一つ選ぶのは難しい」としながら、本当は見開きにしたかった、青い扉が織り成す光の美しい「コーヒー ランチ サントス」(東京都)をはじめ、高度経済成長期頃のデザインが好みだという「喫茶&軽食ニューセブン」(兵庫県)、創業は戦前となる「万定フルーツパーラー」(埼玉県)を、3本の指に入る店として教えてくれた。

 現在も営業する店でまず挙がったのは、大阪府にある「喫茶 nest」。

「人から教えてもらったのですが、内装がとてもクール。宇宙をテーマにしたデザインはトップクラスだと思っています。でも営業は月、火、水のみ。しかも昼の1時間しか開いていない。1週間に3時間しかやらない、かなり訪問難易度が高い店です(笑)」

 他にも、壁に埋め込まれた水槽が美しい水族館のような「喫茶 軽食 キャッスル」(岡山県)、装飾テントで外観を覆う「コーヒー&カレー K」(島根県)が挙げられた。

「装飾テントで覆った『コーヒー&カレー K』の外観は、まるでラブホテル(笑)。今の感覚でいうと入りづらいですよね。こういうのを見ると、昭和という時代は、喫茶店という言葉の持つ響きが、今とはずいぶん違ったのだと感じます。今どきのカフェが若い女の子を対象としているのともずいぶん違いますよね」

 そんな昭和になぜ多くの人が魅せられるのか?

「想像ですが、今の時代が求めさせるのかなと思います。いろいろ世知辛い世の中になっていますからね。昭和はやっぱりおおらかな時代だったと思います。昔は良かったという感じじゃないですかね。だから昭和を生きた方も、その時代には生まれていなかった人も、ぜひタイムトリップするつもりで、昭和喫茶に足を運んでもらえたらなと思います。既に、この本で紹介した店の半分くらいが閉店してしまってはいますけれどね」

デイリー新潮編集部

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