「隆二の何を知ってるのか知らんけど…」 岸田総理襲撃の容疑者の父が取材に語った本心
「隆二の何を知ってるのか知らんけど…」
動機については?
「本人(木村容疑者)に聞いてください」
ここに及んで、息子との距離を感じさせる発言が出たように思われたが、
「もう無理、絶対に無理。意味わかりますか? ちょっと広辞苑で引いてもらって大丈夫ですか」
その後、何を聞こうとしても「語りません」――。
思い出されるのは警察の取り調べに黙秘を貫いているという息子のことだが、そんな感想を伝えると、
「あんたが隆二の何を知ってるのか知らんけど」
と、微妙に感情の揺れをのぞかせた。そして、
「テレビも見ないしね。全然興味ないんです。マスコミなんて……。事件も翌日に他人から知らされただけで。スマホだって、車でナビを見るのに使うだけで」
冷淡とまでは言わないが、やはり息子の件に関してはどこか恬淡(てんたん)とした印象ではあるのだった。
父親はこのやりとりの中で自身に「友人はいない」と語った。もしそれらの言が本当ならば、父親は社会との関わりが希薄だったのかもしれない。では、息子は……。
木村容疑者もまた、仕事を通じた形での社会との関わり合いはなかったようだ。しかし“政治”には強い執着を見せていた。
「木村は昨年9月、川西市で開かれた市議会議員の市政報告会に現れ、そこで自民党の大串正樹衆院議員(比例近畿)に“市議選に出たいが、被選挙権が25歳からなので出られない”“(24歳以下では選挙に出られないのは)憲法違反なので被選挙権(を得られる年齢)を引き下げるべきだ”などと訴えていたことがわかっています」(社会部デスク)
加えて、驚きの行動も。
「昨年6月には、年齢制限や供託金300万円が用意できなかったことを理由に参院選への出馬を阻まれたのは不当だと主張し、代理人弁護士をつけない『本人訴訟』で国を提訴。請求が退けられるも控訴しており、5月25日に判決が出る予定です」(同)
安倍元総理批判も
裁判の過程で現行の選挙制度を批判し、木村容疑者は書面でこんな主張に及んでいる。
〈政治家が国民のために存在しない(原文ママ)に至ったのは制限選挙を続けてきたからである〉
〈故安倍晋三の様な既存政治家が、政治家であり続けられたのは、旧統一教会の様なカルト団体、組織票をもつ団体と癒着していたからである〉
後段を読むに、安倍元総理を銃撃した山上徹也被告(42)の影響が明らかに垣間見えるのだ。
独善的な論を振りかざすそのキャラクターは、当局の取り調べに際しても遺憾なく発揮されている。
「最初の聴取で取調官に黙秘すると告げたうえで、ある大物弁護士に弁護を依頼したいと訴えたのです」
彼のご指名にあずかったのは、日本弁護士連合会の元会長で2020年には都知事選にも出馬、全国に名を知られる宇都宮健児弁護士(76)その人だ。
宇都宮弁護士に聞くと、
「事件当日の土曜日に和歌山西警察署が事務所に電話をかけてきたのですが、あいにく土日は事務所が休み。留守番電話での対応になってしまい、“木村隆二さんが弁護を依頼したいと言ってます”という吹き込みが残っていました。月曜日早朝に再び和歌山西警察から連絡があって“他の弁護士になったので依頼は取り消します”という話でした」
その間、木村は和歌山県弁護士会所属の金原徹雄弁護士(68)と接見している。
「この金原氏が国選弁護人として選任され、もう一人も国選で付く見通しです」(先の社会部デスク)
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