開幕直後は“絶好調”だったのに…尻すぼみで終わった“残念な助っ人たち”

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長嶋茂雄監督も「ダンカンはすごかった」

 5月初めに本塁打、打点でリーグ二冠と存在感を示しながら、“春男”で終わったのが、巨人のマリアーノ・ダンカンである。
 
 メジャー通算1247安打、87本塁打の実績を買われ、1998年に巨人入りしたダンカンは、3月28日のオープン戦、ヤクルト戦で3本塁打を固め打ちし、「ヤクルトのコントロールミスもあったけど、ダンカンはすごかった」と長嶋茂雄監督を喜ばせた。

 開幕後は3試合連続無安打と不本意なスタートも、4月7日の広島戦で16打席目の初安打となる右中間への1号ソロを放ち、同点劇の口火を切ると、翌8日の広島戦も7回に2号満塁弾で2戦連続の勝利に貢献、「スペシャル・フィーリングだよ」と鼻高々だった。

 その後も、打率こそ1割台後半から2割前後を行ったり来たりと確実性に欠けたが、4月18日の阪神戦で5号3ラン、5月6日の横浜戦でシーズン2本目の満塁本塁打を放つなど、この時点でリーグトップの7本塁打、22打点の二冠をマークしていた。

 だが、本拠地・東京ドームでは48打数14安打21打点7本塁打と結果を出すのに、ビジターでは34打数3安打1打点0本塁打と安定しなかったため、使いづらく、しだいに出番が減っていった。

 8月7日の中日戦では、8回に代打で登場して宣銅烈に三振に打ち取られた直後、納得のいかない起用法に怒りを爆発させたダンカンは、ダッグアウト裏の素振りルームでバットを投げつけ、大鏡を破壊する事件も起こしている。

 結局、出場63試合の打率.232、10本塁打、34打点に終わり、たった1年で退団。7月31日の阪神戦で、バルビーノ・ガルベスが橘高淳球審にボールを投げつけ、無期限出場停止処分を受けた事件の際に「ガルベスを止めに入って突き飛ばされた人」として記憶しているファンも多いかもしれない。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2021」上・下巻(野球文明叢書)

デイリー新潮編集部

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