改修、建て替え、移転で揺れる「ZOZOマリン」の急所は「カネ」と「海陸風」、囁かれる救世主の名前は?

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2年以内に具体的な計画が

 もう一度、大規模修繕工事か? それとも、建て替えか、移転か…。

 統一地方選挙も佳境を迎えようとしている。千葉県千葉市ではひと足早い4月9日に投票が行われ、新しい市議会議員が選ばれた。

「今年の1月5日、千葉ロッテの球団事務所で『仕事始め』があり、そこで千葉市がZOZOマリンスタジアムを改修するか、建て替えるのか、移転も含めて検討していることが明かされました。高坂俊介球団社長は『2年以内に具体的な計画を示してくるようだ』と話していました」(スポーツ紙記者)

 その「具体的な計画」を立案するのが、今回の選挙で選ばれた50人の市議会議員なのだ。

 今回の市議選を見る限り、ZOZOマリンの改修計画を前面に掲げた候補者はいなかった。ある千葉県議によれば、「現時点では、千葉市内のどこか別の場所に新球場を造る意見が有力」とのことだが、「球場所有者」の千葉市、その周辺の「駐車場所有者」である千葉県、「球場の指定管理者」のロッテ球団の意見が一本化されるまでには少し時間が掛かりそうだ。

「ZOZOマリンをなんとかしようという雰囲気は高まっています。昨年4月10日に佐々木朗希(21)が史上最年少で完全試合を達成したことで地元財界がロッテおよびプロ野球に関心を持ち始めました。今季からロッテのユニフォームの左袖に地元銀行のスポンサーロゴも加わりました。新球場を造るとなれば、地元財界の協力は不可欠です。球団と千葉市の関係も良好です」(地元メディア関係者)

 2020年3月の千葉市議会でZOZOマリンの老朽化が取り上げられた。同球場が開場されてちょうど30年、しかし、そのころの千葉市は毎年のようにマリンの大掛かりな修理工事を繰り返しており、19年から21年の3年間だけでも「総額9億円」を要したという。

「20年3月の市議会で報告されたのは、大規模修繕、建て直し、移転のいずれかで真剣に検討しなければヤバイということでした。球場の老朽化が思っていた以上に進んでいて、その原因は、塩分、水分を含む東京湾から吹く海陸風にありました。金属箇所のサビ、コンクリート壁の劣化、ヒビ割れは行政が予想していた以上に進行していました」(前出・同)

 9億円を投じた修理工事後も電気設備の劣化箇所が見つかったそうだ。

 また、老朽化と同時に議会で報告された大規模修繕工事を行った場合の試算は、「70億円から80億円」。これには毎年のメンテナンス費用は入っていない。以後、「だったら、立て直すか、市内のどこか別の場所に移転させたほうが良い」という意見に傾いていったという。

 しかし、“新球場”を造る場所までは決められなかった。ZOZOマリンの近隣に立て直すとすれば、駐車場所有者の県と話し合わなければならない。市内のどこかに移転させるとしても、その候補地の絞り込みまではされていなかった。

 それから約1年後の21年3月、千葉県知事選が告示された。現知事の熊谷俊人氏(45)は公約発表の会見の席で、ZOZOマリンからさほど離れていない京葉線・新駅の幕張豊砂駅周辺を「候補地」に挙げた。具体的な候補地が挙げられたのは、これが初めてである。

 熊谷知事は「老朽化の加速」が報告された20年3月の市議会では、千葉市長に就いていた。「球場所有者の千葉市がZOZOマリンをどうしたいのか」を知る政治家でもある。しかし、前出の県議によれば、「千葉市は千葉都市モノレールの最寄り駅周辺を候補地に考えているようだ」と言う。

「千葉都市モノレールは経営が厳しいと聞いています。その沿線一体が賑わうようにしたいと考えているようです。新球場をZOZOマリンの近くに造れば、海陸風による老朽化の加速を繰り返す恐れもあります。京葉線新駅の周辺が賑わうことも大切ですが」(同)

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