音楽会や観劇を自粛していたら長生きできない…免疫力の維持に必聴の作曲家の名前は

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 3月13日にマスク着用が個人の判断にゆだねられて以降、クラシック音楽や舞台芸術の鑑賞の場にも、だいぶ客が戻りつつあるが、コロナ前の水準にはなかなか届かない。海外アーティストを招聘するある企業の責任者は、

「とくにクラシック音楽の演奏会やオペラ公演は高齢者のファンが多く、業界が高齢者に支えられている面があります。コロナ禍では、最初は公演自体が中止に追い込まれ、途中から入場者数を絞ることで公演は可能になりましたが、海外アーティストは入国制限の関係でなかなか呼べなかった。そんな困難を乗り越えて、なんとか公演を実現させても、中心となるお客さんの多くが外出を自粛し、ホールや劇場になかなか戻ってきてくれませんでした。いまもまだ高齢のお客さんはコロナ前の7、8割程度です」

 4月になってからもコンサート会場に行くと、入口では検温と手指のアルコール消毒が必須で、マスクをしてないと「着用を推奨しています」と、強制ではないにせよ誘導されたりする。また、「ブラボーを言う際はマスクをしてください」「飛沫を防ぐためにお客様同士の会話はご遠慮ください」「退場の際はお客様どうし1メートル程度の間隔をおとりください」といったアナウンスが頻繁に流れ、コロナ禍が続いていることを意識させられる。

 これでは心配性の人は、「こういう場所に来るのはまだ危険なんだ」と尻込みしてしまうだろう。業界内では「御上」への配慮もあって一定の横並びが求められ、個々の事業者を責めることはできないが、結果的に業界はコロナを怖がる高齢者に安心感を与えず、自分で自分のクビを絞めている。

 ヨーロッパでは検温や手指消毒はむろん、館内アナウンスも一切なく、新型コロナのパンデミックはすっかり過去の話になっている。マスクをしている人は屋外よりは多いとはいえ、100人中2、3人程度だろうか。

外出を控えていた高齢者は外へ戻りにくい

 しかし、コンサート会場によく足を運ぶ医師は、「日本の観客はもうコロナ前には戻らないだろう」と予測し、その理由をこう話す。

「新型コロナウイルスを怖がって外出を控え、コンサートや観劇をあきらめた結果、気力も体力も衰えてしまった人が多いからです。コロナ禍では家にこもって、足腰が衰えてしまった高齢者が非常に多い。高齢者の場合、いったん衰えてしまうと、なかなかもとに戻りません。また、あることに強い興味をもち、探求することで脳の衰えを防ぎ、好きなものに触れることで気力を充実させられるのに、家に閉じこもってしまえば、そういうチャンスが失われる。3年間もそうやって過ごしてしまうと、ホールや劇場には戻りにくいと思います」

 コロナ禍においては、テレビを中心にメディアがコロナの怖さを喧伝し、専門家は人が集まることのリスクを説き、そのたびに「高齢者の命を守るため」だという理由づけをしていた。こうした呼びかけに抵抗できる高齢者は、けっして多くなかったと想像されるが、はたしてそれでよかったのか。現実には、「高齢者の命を守るため」どころか、「命を守る」ためのチャンスを失ったと思われるのである。

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