米NYで摘発された中国「秘密警察」 ねつ造と言い張る中国側の反論は「明らかなウソ」

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日本でもやりたい放題

「秘密警察はこうした活動を汚職官僚だけでなく、各国に住む中国人にまで広げるための拠点です。福建省をかたるのは華僑が多いこと、海外進出する企業が多いことが挙げられます。チャイナタウンや中華料理屋の入っているビルの1室を借りて拠点として活動しますが、総司令塔はもちろん、北京の安全系統の部門ではないかと思われます。今回逮捕された2人だけで担当区域を担うのは大変ですから、その下に情報係となる協力者が多数います。中国人が多いでしょうが、アメリカ人もいるでしょう」

 習体制を批判しており、しかもそれをSNSなどで発信している――こうした人物情報を徹底的に集め、悪質と思われる人物には「故郷にいる家族に危害が加わる」などと脅して帰国を促すのだという。

 中国人民解放軍による日本へのサイバー攻撃に関与したとして、中国籍の留学生に逮捕状が出た事件(2022年)など、留学生や研究者が本来の身分を隠して技術情報を盗んだり流出させたりするケースも日本では懸念されている。

「日本はスパイ天国です。天安門事件以来、中国へ帰っていない人。飲み屋や食事の席で習近平の悪口を言っている人など、反政府系の人まで、協力者たちの提報によって炙り出されていくのです。今回のように、運営している人間を捕まえても、その下にいる多くの協力者まで摘発しないと、意味はないように思いますが法的には難しい話。いずれにしろ、日本にはスパイ防止法が必要でしょう」

 ちなみに、中国当局は自身のやっていることについて「免許証の更新手続きやコロナ禍で帰国が難しくなった同国民のサポートなどを行っている」と主張している。

「中国だって、免許更新手続きは警察の事務です。それを勝手に代行していいのでしょうか。さらにいえば、例えば免許更新なら、ネット申し込みで9割はできます。残り1割は帰国した際に、健康検査を受ければそれで完了する地域もあります。コロナ禍で困っている中国人を支援するのは、大使館の仕事でしょう。ウソは明白です」

 外国、とりわけ民主主義国にいる中国人の影響力(デモ、記事掲載、SNS発信など)は無視できないということなのだろうが、徹底的に監視網を敷く習体制の在外中国人への締め付けは当面、続くことになりそうだ。

デイリー新潮編集部

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