「池袋暴走事故」妻子を奪われた遺族が、民事裁判で91歳「飯塚受刑者」からの“謝罪”申し出に激怒した理由
判決後に再び「謝罪」の申し出
事故直後に行われた複数回の申し出は、飯塚受刑者が起訴された後からぱたりとなくなった。ところが、判決確定後に再び、「謝罪をしたい」と言い出した。しかも、2年以上も無罪を主張していたのが、手のひらを返したようにアクセルとブレーキの踏み間違いを認めたのだ。松永さんが思い返す。
「申し出を受けるかどうか寝られないほど悩みました。しかも、刑務所に入る可能性があるからというので、早く決めないといけない。本当は彼の顔も見たくなかった。でも考え抜いた末に、彼が謝罪をすることで、人生において何らかの救いになるのであればと思い、受け入れることにしたのです。友人からは『どこまでお人好しなのか』と言われました」
しかし、条件面で引っかかった点がある。それは謝罪の場が、法廷に指定されていたことだ。
「別に法廷じゃなくてもいいですよね? どこか会議室を借りて、そこで謝っていただければいい」
松永さんら原告代理人は、謝罪の場所や日程は原告側が決めることを条件に受け入れると決断し、準備書面で伝えた。すると被告代理人は一転、受けられないと断り、その態度が松永さんの逆鱗に触れた。
「あの申し出は何だったんだと。彼に対して大きな心を持って接しようと思った気持ちが踏み躙られました。謝るなら裁判所だろうが会議室だろうが変わらないですよね? つまりそこまでして謝りたいと思ってなかったってことです。その程度の謝罪だったんだなと」
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