自衛隊ヘリ消失に残された謎 専門家は「ヘリの種類が多すぎる」と指摘
新兵器利用の可能性?
「外国勢力、特に中国からの攻撃の可能性は現時点ではゼロとはいえません。レーダーに感知されていない以上、ミサイル攻撃はないでしょうが、ドローンによる攻撃、あるいはなんらかの新兵器に撃墜された可能性は残ります。それに最近の陸自の重点的な南西諸島への兵力配備は中国から見れば、太平洋進出を邪魔する動きだったでしょう」
そこに第8師団の幹部らを狙う動機があるというのだ。とはいえ、
「ただ、他国の領空で高級将校を攻撃するという行為は、もし証拠をつかまれると明白な侵略行為。そんな危険を冒してまで、陸自ヘリを撃墜するメリットが中国にあるのか。そう考えると、現状では『中国説』もほぼなさそうです」(同)
諸説飛び交う中で今、最も有力な説が羽を回すローター部分や、それに関係する機械系統等に何らかの不具合が生じたケースだ。
「ローターが吹き飛べば、機体は瞬時に墜落します。18年の佐賀の事故でも、ローター・ヘッド(軸)とブレードをつなぐボルトが破損して事故が起きたと、調査で結論付けられています」(先の自衛隊関係者)
「陸自の種類はあまりにも多すぎる」
では、なぜそんな事故が一度ならず起こるのか。
「現在陸自が運用しているヘリは10種類近くもありますが、海自や空自は2種類ほど。ヘリは複雑な構造で、専門の知識を持った整備士を養成しなければならないのに、陸自の種類はあまりにも多すぎます。加えて部品の不足もあって、312機あるヘリの一部は運用できていません。今回の機体は点検済みだったと聞きますが、何らかの整備の不備があった可能性は否定できない」(同)
折しも、中国は8日から台湾周辺で大規模な軍事演習を実施している。いつ台湾有事が起こってもおかしくはない状況で、その対応に当たる部隊に起きた今回の“有事”。隊員らの無事を祈る一方で、我が国の平和が保たれるのか、不安は募るばかりだ。
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