相次ぐウクライナ軍“反転攻勢”報道の実情 肉弾戦のロシア軍対策で新たな秘密兵器も
反攻作戦はブラフ!?
根本的な問題もある。戦車の攻撃力は非常に高いが、それは様々な“支援”が前提になっている。
「そもそもロシア軍が対戦車地雷を戦場に埋設していれば、それを工兵が除去する必要があります。戦車部隊が突っ込むにしても、最低でも砲兵隊の援護射撃が必要です。さらに、戦車が遺憾なくその実力を発揮するには、やはり航空支援が不可欠です」(同・軍事ジャーナリスト)
1990年の湾岸戦争でM1エイブラムスが大戦果を挙げたのは、アメリカ空軍の支援が充実していたからだ。
「航空支援がない戦車はどうなるか、イラク軍とイスラム国(Isis)の戦闘に実例があります。アメリカからM1エイブラムスの供与を受けたイラク治安部隊は、航空支援のない状況下でイスラム国と戦い、40台ほどのM1エイブラムスを破壊・鹵獲されたのです」(同・軍事ジャーナリスト)
緒戦でウクライナに侵攻したロシアの戦車部隊も、空軍の航空支援が充実していなかったため返り討ちに遭っている。
ウクライナ軍にとってNATO各国から供与された戦車は、まさに虎の子だ。損失は何があっても避けたい。自分たちの戦車がロシア軍戦車の二の舞になるのは最悪のシナリオであり、戦車の実戦投入は慎重にならざるを得ない。
「欧米のメディアは盛んに『春からウクライナ軍の反攻作戦が始まる』と報じていますが、これは一種の情報戦と見るべきではないでしょうか。ウクライナ軍がクリミア半島に侵攻すると思わせて、半島のロシア軍に緊張を強いるのが目的だと思います」(同・軍事ジャーナリスト)
[3/4ページ]