相次ぐウクライナ軍“反転攻勢”報道の実情 肉弾戦のロシア軍対策で新たな秘密兵器も

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戦車供与の遅れ

 ウクライナ軍がクリミア半島に少しずつでも反転攻勢をかけることができれば、ロシア軍の補給路を叩く機会も増える。南部のロシア軍を兵糧攻めにできる可能性が出てくるわけだ。

 しかし、こうしたウクライナ軍の「反攻のシナリオ」はあまりに楽観的だという。

「ロシア軍はウクライナから追い出されたとしても、自分たちの母国は安泰です。一方のウクライナ軍は、自国内での反攻作戦が失敗してしまうと致命的なダメージを被ります。これまでウクライナ軍は必死に領土を守ってきましたが、今回、初めてロシアに攻め込むチャンスを得ました。このプレッシャーは相当なものがあると思います」(同・軍事ジャーナリスト)

 頼みの綱であるNATO(北大西洋条約機構)各国から供与される戦車も、配備までのペースは決して速くない。

 ウクライナ兵の操縦操作訓練が容易な環境のレオパルト2でさえ、やっとのことで訓練が終わるという段階だ。アメリカが供与を予定しているM1エイブラムスに至っては見通しすら立っていない。早くても来年という報道さえある。

「ウクライナ軍は機甲師団を発足させ、反転攻勢をかけるという報道も目立ちます。しかし現場の動きを見ていると、とても事実だとは思えません。そもそも『戦車は自力で戦場に向かう』と勘違いしている人も多いのではないでしょうか。戦車は非常にデリケートな兵器で、長距離を自走させると故障してしまいます。最前線の近くまで鉄道かトラックで運ぶ必要があるのです。ウクライナ軍の様子を見ていると、戦車の運搬手段を準備できているようには思えません」(同・軍事ジャーナリスト)

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