暴言、過酷な労働環境に一方的な「クビ宣告」… 歴代総理も通う超名門料亭「金田中」料理長がブラック体質を告発
自腹で3万円を払う羽目に
まさしくワンマンの典型ではないか。
「社長は、重要行事である毎月の試食会にしばしば遅刻してきます。会は各店の夜の営業前、多くは14~15時ごろに行われるのですが、大体30分以上遅れてきて、ひどい時は『今から行く』と電話してきてから2時間かかったこともありました。時間にルーズなだけでなく、携帯電話など私物を店内や車内に頻繁に置き忘れるので、社内からは“大丈夫なのか”といった声も上がっていました」(同)
こうした社長の振る舞いに不信感を抱くのは山田氏に限らない。ある金田中グループの関係者が明かすには、
「2年前まで在籍していた料理人は、かつて渋谷のセルリアンタワー東急ホテルに入っていた金田中が閉店する際、最後に社長がお客様の前で自ら肉を焼くから、すき焼き用の肉をスライスして届けるようにと言われて用意しました。ところが後日、社長から『肉の厚さが違った。お前のミスだから弁償しろ』と不当に責められ、自腹を切って3万円を店のレジに入金する羽目になりました」
一方的にクビを宣告
岡副社長は、新橋の料亭や芸者衆からなる組織で、「東をどり」を主催する「東京新橋組合」の頭取も務めている。が、これでは“売り家と唐様で書く三代目”となりかねない。
そして3月8日、決定的な“事件”が生じた。再び山田氏が言う。
「社長から新橋の本店に呼び出され、一方的な言いがかりをつけられました。『ランチのオニオングラタンスープに入れるバゲットがカリカリの状態ではなかった』『ハンバーグを生から調理せず、出来上がっているものを焼き直して提供した』などと、すべて事実無根。そもそも、私の担当した調理ではなかったのです」
ところが、それらを並べ立てて社長は、
「『お前の給料のうち20万円は役職給だが、決められたことをしていないので支払えない。ただし生活があるだろうから3カ月は待つ。いつ終わりにするか返事をくれ』と、事実上のクビを宣告してきたのです」(同)
山田氏は堪忍袋の緒が切れ、数日後、社長に辞意を伝えたのだった。
「3月25日の勤務を最後に退職しました。今後は休日出勤などの金銭的な補償と、暴言などで受けた精神的苦痛の損害賠償を求めていくつもりです」(同)
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