「教場0」 キムタクの存在感ばかり注目されるが、正統派ミステリーとしての評価はどうなのか
木村拓哉の新境地
麗華の火薬アレルギーに気づいたのは瓜原で、お手柄だったものの、事件はより早く解決できるはずだった。麗華は益野が拳銃を撃っている絵を、瓜原に渡そうとしていたからである。
だが、瓜原は麗華が警察嫌いだと思い込み、気が引けてしまい、風間から命じられたにも関わらず、会わなかった。風間には「会った」とウソをついた。
推理ではないものの、観る側に瓜原の行動の是非を考えさせた。答えはさまざまだろう。正解はないはずだ。風間も瓜原の行動を全否定している訳ではないようだ。第2話以降も指導するからである。
情緒的な場面はほとんどなかったものの、最後は泣かせた。心因的理由から声を失っていた麗華が「パパ、待ってるね」とつぶやいたところである。無言でうなずく益野も哀しかった。
感情を極端なまでに殺した木村の演技がいい。これまでの制作者は30代までの木村のイメージを維持することばかり考えていたのではないか。
赤楚も魅力的。どこが一番良いのか考えていて分かった。目が10代のようだ。汚れがなく、澄んでいる。いくら稽古を積んでも出せない目をしている。