増加する主婦のひきこもり……夫から「家事や育児をおろそかにしている」と怒鳴られ、追い詰められた「49歳女性」の証言
「女性だから失ったことはあまりにも多い」
ひきこもり女子会で会ったシングルマザーのきみこさん(仮名・49歳)。4年前に離婚し、小学生の娘と二人で暮らしている。
家族以外の人とは会わず、買い物以外は外出もしないひきこもり状態だったが、自分自身が“ひきこもり”だとは思っていなかったという。家族とは普通に会話をし、主婦をしている自分が家にいるのは当たり前だったからだ。
きみこさんがひきこもるきっかけとなったのは、結婚を機に仕事を失ったことだった。
結婚してすぐに妊娠がわかったとき、専業主婦の母親に育てられた夫は、きみこさんも同じように家事や育児に専念することを求めた。結婚前まで続けてきたのは介護の仕事。高齢者をケアする仕事に誇りをもってきたきみこさんにとって、仕事を辞めることは大きな決断だった。
「女性だから失ったことはあまりにも多すぎます」
きみこさんは涙を浮かべ、声を詰まらせながら当時の決断を振り返った。
仕事を失って以来、きみこさんは自分のことを後回しにすることが当たり前になっていく。きみこさん自身が望むことを選択するのではなく、夫が望むこと、家族が望むことを優先するようになっていったのだ。
「夫の顔色はやっぱりうかがいますよね。元夫は、私が社会との接点を持とうとすると邪魔してくるんです。何か活動しようとすると制限をかけてくる。ビクビクですよね」
それでも自分の人生を取り戻すために、もう一度仕事をしたいと願ったきみこさんは、作業療法士の資格を取得するため専門学校の夜間コースに通い始めた。昼間は家事や育児をこなし、夜間に勉強というハードスケジュールだが、復職することを第一に考えた。しかし、元夫に「家事や育児をおろそかにしている」と怒鳴られるようになり、卒業を前に退学せざるを得なくなった。学校側も「今辞めて本当にいいんですか」と言ってくれたが、どうにもならなかったという。
「育児・家事を放っておいて、勉強とかいつまでやってんの、みたいな。すごく脅されるんです。私も言いくるめられないように抵抗しようという気持ちが湧くんですけど、そうすると夫は力で押さえつけてくるようになるんですね。学校は…本当に惜しい、いまだに惜しいことをしたなと」
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