めいが明かす小津安二郎の素顔 「朝が遅い伯父のヒゲをかきむしって起こしていました」

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

「子供好きのやさしい伯父でした」

 小津の研究家で今回の展示にも多数の所蔵品を出品した長野県立大学教授の築山秀夫氏は、「小津安二郎展」の見どころについて「多くのポスター、チラシの展示で華やぎのある展示会になりました。小津安二郎という巨人の生涯を通じて日本映画の黄金期とその時代を感じ取っていただければ」と語る。「小津安二郎展」では、一部作品の予告編を上映。小津作品をご覧になっていない方もその雰囲気を味わえる。また小津が畳の上で生活する日本人の視線にふさわしいと多用したカメラ位置「ローポジション」の体験コーナーも設けられている。

 普段の小津はどんな人柄だったのか。小津のめい、亞紀子さんは懐かしそうに、こんな素顔を語ってくれた。

「鎌倉に自宅を構えるまでは、撮影のない時、千葉県野田にある私の家の隣で寝起きしていました。朝が遅い伯父を起こしに行くのは私の役目。まだ幼子だった私は伯父さんの上に乗っかって、ヒゲをかきむしって起こしていました。子供好きのやさしい伯父でした」

 生涯独身を貫き、映画にすべてを捧げた小津の、“家族”とのやさしい一面が垣間見えてほほ笑ましい。

 ゴールデンウイークの喧騒を離れ、小津の静かな世界を味わってみるのもいいかもしれない。

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。