「ジャパニーズウイスキー」ブームはウクライナでも? 日常を取り戻しつつあるハルキウの現地レポート

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日本のウイスキーも買える品ぞろえ

 近年はブームのせいで定価1万円のサントリー「山崎12年」が2万5千円ほどで流通しているという国産ウィスキーだが、示された価格は「10999」。単位が“円”ではなく“フリブナ”であることにご留意いただきたい。フリブナはウクライナの通貨単位だ。

 ウクライナでも高級ウイスキーが流通し、さらにシネコンやショッピングモールも営業中……というと、平和なわが国と大差なさそうだが、もちろんそんなはずはない。かりそめの平穏ともいうべき現地の状況をジャーナリスト・村山祐介氏が写真と共にレポートする。

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 3月半ばに訪れたウクライナ北東部の都市ハルキウのショッピングモールには、日本のウイスキーのみならず、色とりどりの野菜や精肉、鮮魚も。数多くの種類のチーズが並び、「ないものはない」くらいの品ぞろえだった。「山崎12年」につけられた1万999フリブナは日本円に換算すると約4万円だが、日本のプレミア価格に流通コストを加味すると決して割高ではない。

 食品売り場を出てエスカレーターを上ると、そこは春の光が差し込む吹き抜けの1階で、子どもたちが走り回り、シネコンでは映画「アバター」の最新作が上映されている。カルバン・クラインやアルマーニ、スワロフスキーといったブランドショップもオープンし、香水売り場には女性たちが集まっていた。同じハルキウ州でも、ここから東へ100キロほど、3分おきに着弾音が響くドボリチナ村の取材を終えたばかりの私は、激しい落差に面食らうしかなかった。

 が、その刹那、モール内にけたたましいサイレンが鳴り響いた。空襲警報だ。店員たちが慣れた手つきでシャッターを下ろし始めると、客も館内放送に従って淡々と外に向かう。これもまたハルキウの日常で、平穏がかりそめであることを知らされる。

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