違法駐車、飲酒運転が当たり前! 外国大使館の「違反金踏み倒し」ワースト1位はどの国?
ワースト1位は?
不名誉なワースト1位は、あのロシアで1826件。踏み倒し件数全体の47%と、実に約半数を占めたのだ。次いでワースト2位は中国の638件(16%)。3位はエジプトの184件。ロシア・中国の2カ国はリストを入手できた過去4年すべてで、ワーストのワンツーだった。
4位以下では、「旧ソ連諸国」と「中東」の国の多さが目立った。また、G7ではドイツやフランスが目立つ一方、国内最大級の大使館を持つアメリカは25位(14件)と少ない印象だ。イギリスは4年とも「ゼロ」で、まさに“紳士の国”だった(各国ワーストランクは「FNNプライムオンライン」でも公開しているので参照していただきたい)。
外交官ナンバーによる踏み倒しは、なにも世界各国の大使館が集中する都内だけの問題ではない。残念ながら領事館が置かれる地方都市でも起きている。
先に触れた警察庁のリストによると、踏み倒し計3900件のうち東京都内は3540件と最多だが、成田空港を抱える千葉県内が313件と2番目に多く、ほかにも大阪府や北海道(各11件)、新潟県(9件)、神奈川県と愛知県(各7件)、兵庫県と奈良県(各1件)でも確認されている。
酒を飲んで車に乗り込もうと…
外交官ナンバーの違法行為は、駐車違反にとどまらない。19年6月の夜、取材班は六本木周辺で連日張り込みを続け、複数の違反車を見つけた。
ロシアのナンバーの車から降りた一人の外交官は、ためらいもなく放置駐車した後、ネオン街を歩き始めた。すかさず後を追うと、案の定近くの飲食店に入った。件の外交官は店内で日本人風の男性と合流。映画に出てくるようなスパイとの情報交換の現場にも見えた。
さらに、そのロシア外交官は男性と話をしながら何かを飲み始めた。ジョッキに注がれた金色の液体。その上にはうっすらと泡も確認できる。そう、彼が口にしていたのは「生ビール」だった。酒を飲んだ後、車はどうするつもりなのだろうか。
店を出て一人で車に戻ろうとするところを直撃した。動揺する様子が見て取れるロシア外交官は「駐車は2分だけだった」と誤魔化した。飲酒についても追及すると「あれは……。ウーロン茶」とあきれたうそを重ねる始末だった。
しかし私たちが一部始終を見ていたことを告げると観念したのか、「駐車違反」と「飲酒」を認めた。外交官は急きょ友人を電話で呼んで運転させ、その場を後にした。あのまま飲酒運転をしていれば事故を引き起こす危険もあった。
ちなみに、飲酒運転には5年か3年以下の懲役又は罰金が科されるが、外交官はこれまた外交特権で、罰せられることはない。
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